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大阪市西淀川区にあるクラニオセイクラル専門の整骨院院長のきまぐれ日記

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学会に行ってきました

所属する日本柔道整復師会大阪学会に行ってきました。割合に学会の類にはマメに出て行く方で、クラニオセイクラルの話はさすがに出てきませんがそれでも最新の知見を得たり施術のヒントになるような話を聞くことはできます。

若いころは大阪府柔道整復師会の学術委員というのをやっていて学会の裏方の経験もあります。会場のあちこちを走り回っている委員さんたちを見ているとその当時のことを(ムチャクチャに忙しかった)ちょっと思い出したりもしました。

昔教えていた先生にもたくさん声をかけていただいてうれしかったです。軒並み「太ったんと違います?」と言われるのはショックでありましたが。

ロビーには医療機器の展示ブースも出ています。かつては新製品が目白押しだったのですが最近は機械屋さんよりも湿布やテーピングなどの衛生材料の会社のブースの方が多くなっています。日本経済やら業界の現状を反映しているのでしょうか。

一番変わったのは参加者の服装です。かつての学会ではごっつい風貌のオジサン達が(髪型はパンチパーマか坊主が主流だった)派手なスーツをまとい集結する様はなかなか迫力があって面白かったです。ああいう独自のファッションセンスはどこから生まれたものなのでしょうか。

今日見ているとネクタイをしていない参加者が半分以上。ポロシャツはまだいい方でTシャツにジーンズというのもかなりいました。おりこうさん学生ではなく結構な年齢の同業までそんな格好です。

あかんで、それは。どんなに難しいことを知っていてもどんなに稼いでいても公の場の学会にそんな格好で来とったら業界がナメられる。

話をしてくれる先生に対する礼儀、あるいは学問に対する畏敬の念、そして自分の職業に対する矜持を忘れた業界は内側から崩れます。子供に言って聞かせるようにでも「学会には遊びに行く格好で来てはいけません」ということを学会論文集にでも書いておくべきなのでしょう。ちょうど会場内で「携帯電話はマナーモードにしてください」と掲示するように。

間に合うでしょうか。
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ホメオパシー

最近新聞をにぎわしている療法なのでご存知の方も多いでしょう。

門外漢の私が説明するのは難しいのですが、とりあえず「植物や鉱物を高度に希釈した水溶液を染み込ませた砂糖玉を服用することにより、自然治癒力を働かせる療法」ということになるでしょうか。

「高度な希釈」といってももともとの植物や鉱物の分子が存在しないくらいにまで希釈した水溶液を用いるようなので、現代の科学からみればそれはただの砂糖にすぎません。

そんなものがなんで効くのか?と思ってしまいますが実際には信奉者も多く、医療の現場で使われることも増え始めてきたそうです。

事故もあちらこちらで起きているようで、必要な投薬の代わりにホメオパシーで用いる砂糖玉(レメディ)を投与して不幸な結果になって裁判になったケースもあるそうです。

そして日本学術会議がホメオパシーの科学的根拠を全否定したコメントを出し、日本助産師会や日本薬剤師会もこれに追随するコメントを相次いで出した、というのが昨今の新聞報道です。

非科学的なホメオパシー療法を医療の現場で用いるとは何事か、ということのようで日本助産師会では「助産行為としてホメオパシーを使用したり薦めたりすることを禁じる」ということになっているようです。

しかし、です。ホメオパシーの肩を持つ気も非難するつもりもありませんがそれはおかしいのと違いますか。

まず、ホメオパシーそのものは言ってみれば砂糖玉を与えるだけの行為ですから人体に有害の恐れもなく、極端な話何の資格もなく行うことのできるものです。ホメオパシーというのは一種の治療哲学のようでありますから、その意味においては東洋医学やカイロプラクティックと同列に考えられるものです。

漢方薬を処方する病院やリハビリテーションにカイロプラクティックを取り入れているクリニックはたくさんあります。同様にホメオパシーを診療に取り入れることに法的な問題は存在しないでしょう。どんな考えのもとづいて治療をしようがそれは医療機関の裁量の内です。

結果について責任を問われるのも当然のことです。先ほどの「必要な投薬を行わずホメオパシーのレメディを投与して不幸な結果になった」例では当然その責任は問われるべきでしょう。ただし、インフォームドコンセントをしっかり行ったうえでの選択であったならば患者さんの自己決定権の範疇であって第三者が口をはさむ必要はないケースだってあるかもしれません。

責任を問われるとしてもそれは「医療として標準的な処置をしなかった」ことについてであって「ホメオパシー哲学に基づいた治療を行ったから」ではありません。

日本学術会議がが現代医学と相いれないホメオパシーを全否定したのはむしろ当然のことです。ただしそれが医療現場への介入を許してもよい理由にはならないでしょう。

にもかかわらず電光石火で助産師さんや薬剤師さんがこの動きに同調したところが私にはどうも引っかかります。

医学的には頭蓋骨は動かないのだから頭蓋骨調整(クラニオセイクラル)を整骨院で行ってはいけない、なんてだれかえらい人に勝手に決められたらずいぶん鬱陶しいことでしょうね。まあ、ワタシは医療とは関係はないのですけどね。

ホメオパシーと言えば以前に自閉症の子供さんが見えたことがありました。お母さんがホメオパシーが有効だということで色々実践しておられました。ホメオパシーで有名な先生が「頭蓋骨調整との併用が自閉症には有効である」ということを言っておられるそうで、それで当院を探しておいでになったとのことでした。

残念ながらさしたる改善が見られずにそのままご縁がなくなってしまいました。新聞で「ホメオパシー」の記事を読んで真っ先にその子供さんの顔を思い出しました。

湿布は投薬か?

前回書きましたように柔道整復師は投薬(と、その指示)を行うことができません。

それでも接骨院に行くと塗り薬を縫ってくれたり湿布を貼ってくれたりしますよね。あれっていいの?

これについては厚生省の時代に通達が出ています。

「患部を薬品で湿布するがごときも理論上薬品の投与に含まれると解するが、その薬品使用について危険性がなく且つ柔道整復師の業務に当然伴う程度の行為であれば許されるものと解する」

要するに湿布を貼ったりサロメチールを塗ったりするくらいならまあ構へんで、とでもいった意味でありましょう。

湿布、といってもかつては鉛糖水(酢酸鉛)という薬品を主に使っていたそうです。もうちょっと時代が下がると泥膏、といって一斗缶に入ったどろどろした薬品をガーゼに伸ばして幹部に貼るようになりました。いちいち患者さんが来るたんびにそんなことをしていられませんからあらかじめその日に使う分の湿布をガーゼに伸ばしておくのが整骨院の新弟子に与えられる最初の仕事だったと言います。

当時の弟子は住み込みでしたから掃除洗濯その他の雑用ももちろんこなしての上なので結構な労働ではあったことでしょう。学校時代にはそういう仕事をさせられているクラスメートもまだ少しはいました。

現在は湿布、と聞いて思い浮かぶはがき大のハップ剤が主流でこれをペタン、と貼るだけでしまいです。整骨院の弟子の労働量は激減しましたがその分無資格の身で施術(違法なマッサージ)をさせられることとなり、こちらの方が問題は大きかったりします。

良く聞かれるのが温感湿布と冷感湿布の使い分けです。「どっちを貼ったらいいの?」というご質問を受けますが薬効としてはほぼ同じだそうです。温感湿布は実際に温めるわけではなく唐辛子エキスで皮膚の温点(温かく感じる場所)を刺激しているにすぎません。

だから「どっちを貼っても同じ。気持ちよく感じる方でいいんと違う?」とお答えするようにしています。これと実際に温めたり冷やしたりすることとの臨床的な意味は違うのですが両者を混同している人は多いです。

クラニオ専業なので湿布を使うことはほとんどありませんがごくたまに必要なこともあります。ウチで使う湿布は生薬の粉末を練って作りますのでその都度陶器の鉢でこねて作ります。悠長なものです。

耳掃除の不思議

ちょっと長い引用です。

厚生労働省が「医行為ではない」との見解を示した2005年7月以降、エステティックサロンなどで客に広く行われている耳掃除サービス。ところが、大阪府は理容師に対し、また京都府では理容師、美容師ともに条例で同サービスを禁じている。こうした全面規制をしているのは全国で2府だけ。大阪府の理容師らは「店で耳掃除ができるようになれば、料金が格安のチェーン店との差別化が図れる。事実上、規制の意味がなくなっているのに、我々だけ禁止されるのは理不尽」として、条例改正を府に要望している。

 大阪府は理容師法施行条例で「客の耳そり、耳掃除及び鼻毛そりをしないこと」と規定。大阪府理容生活衛生同業組合によると、過去に大阪の理容店主が客の耳掃除をしている最中に耳内を傷つけたことがあり、1949年に細則を定める際、当時の組合が一律禁止にするよう府に要請したらしい。

 同様に、耳掃除を禁止している京都府。府生活衛生課は「理容師については48年から禁じている。衛生に配慮してのことと思うが、今となっては規制の経緯、理由はわからない」という。

 全国理容生活衛生同業組合連合会は昨年、各地で理容師向け耳エステ講習会を開催。綿棒で耳内をきれいにしたり、耳たぶなどをマッサージしたりするサービスを指導した。担当者は「こうしたサービスは、癒やしを求めるお客さんに間違いなく喜ばれ、店の経営にもプラスになる」とみる。

 大阪市内で30年以上理容店を営む中村敏弘さん(63)は今春、府に条例改正を要望。「約60年も前の古いルールを放置し、だれもがやれることを理容師だけに許可しないのはどう考えてもおかしい。客離れが進む中、サービスに加えられたら、売り上げも増えるのに」と話す。

 大阪府には、ほかにも条例改正を求める声が寄せられており、担当者は「理容店以外で耳掃除サービスが普及しているのは事実。業界の意見を広く聞き、改正が必要かどうかを検討したい」と説明。一方、京都府は「店側からの要請は特になく、見直す予定はない」としている。

2010年8月21日  読売新聞)

と、まぁこんな話です。ちなみに「耳かきエステ 大阪」で検索すればゴマンとその手の専門店にヒットします。
確かに「誰でもできる」耳掃除を理容師さんだけができないというのはおかしい。

ただ、経緯を読んだ限りではやむを得ない部分もあるようです。

というのが2005年に厚生労働省が耳掃除は医行為ではない、という見解を出したということはそれまでの間は「耳掃除は医行為(かも?)」であったわけです。理髪店で医行為ができないのは自明の理で、そうであれば大阪府や京都府が条例でこれを禁じるのは当然のことでありましょう。

似たような話は柔道整復師法にもあって「柔道整復師は外科手術を行い、または薬品を投与し、もしくはその支持をする等の行為をしてはならない」というのが同法16条にあります。

外科手術とか投薬は医師しかできない医行為なのでこのような規定が存在します。ただし、外科手術と投薬のみが禁じられているわけではなく医師にしかできない行為全般を柔道整復師は禁じられています。その中で外科手術や投薬は柔道整復師が誤ってやってしまいやすい行為なのでこれを条文の中に入れて注意を喚起しているわけです。(例示的注意事項と言います)

だから、16条に例示された事項の他の医行為も16条違反となります。たとえば診断行為などを行うとこれにバッティングしてしまいます。当然、耳掃除が医行為であるのならば柔道整復師がそれを行えば16条違反ということになってしまうでしょう。

理容師さんも同じことで、医行為にバッティングするのを避ける意味で耳掃除を禁じていたのは間違いとは言えないと考えます。問題は2005年以降、耳掃除が医行為ではないということが明白になった時点で条例を改正しようという動きがなかったことでありましょう。

さて、柔道整復師が耳掃除をすることは可能でしょうか。もちろん私が「耳かきエステ」で浴衣を着て(相撲取りみたいですが)クライアントの耳を掃除する分には全く問題ありません。

整骨院では柔道整復以外は行ってはいけない規定になっています。もし院内で耳かきをしようと思えば「耳かきは柔道整復の手技として適当か?」ということを考えなければなりません。これはこれで面白いですけれどね。
 

書籍は安い自己投資

同業の先生のブログにあった言葉です。本当にその通りでどんな偉い先生の書いた本でもいくばくかのお金を払えば手に入れることができ、何度でも読み返すことができます。

私の場合、読まないでほったらかしになっている本もたくさんあります。特に治療のテクニック関係の本は斜め読みしてそのまま、という方が多いです。

私が斜め読みをする際にアタマに入れるのは「この本はどんな原理のどんな治療法が載っているのか」です。言ってみれば頭の中に自分の持っている本のカタログをこしらえるわけです。

治療法に行き詰った時に「おお、そういえばあの本にこんなことが載っていた筈やなぁ」ということが天啓のようにヒラメキます。その時に初めて必要な部分を引っ張り出して熟読します。あるいはその辺りをぱらぱらと拾い読みします。

すると、「こうしてみたらどうかな?」という考えが浮かんできます。

それが治療法のブレイクスルーのきっかけになったりすることは多いです。

誤解しないでいただきたいのは治療法の載っている書籍を見て、それをそのまま臨床の現場には持ち込むわけではないということです。それはそうでしょう。治療中に患者さんの横に本を開いて「ええと、これはどうやるんだっけ?」なんてことはありえません。治療だけではなく料理だって建築だって実践している人に教わらなければできるものではありません。

あくまでも技術書は起爆剤の役割を果たすものであって、あるいはセミナーノートのごとく実際に教わる際の理解を深めるためのものであって、本を読んだだけで実践できるできる技術、というものには私は懐疑的です。

「教材(書籍やビデオ)だけで治療法をマスターできるか」というのは結構面白い研究テーマだとは思います。形をマネするだけなら簡単なのですけれどね。
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かなや やすひろ
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性別:
男性
職業:
柔道整復師
自己紹介:
大阪市在住。医療系専門学校で教えるかたわら自宅兼のちっこい治療院でクラニオセイクラルのセッションを行う。好きなこと:講義すること、治療すること、飲むこと。嫌いなこと:お医者さんごっこ
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