骨はズレるのか3(本当のところはどうなの?)
さて、現代医学では骨がズレるということに否定的であるが手技療法の世界では作用機序(どうして手技療法は効くのか)を説明するモデルとしてズレという概念を使っているという話を二回にわたって書きました。それでは本当のところ骨はずれるのかずれないのか。
実は私、昔々にちょっとだけカイロプラクティックをかじっていたことがあります。今は中堅どころのスクールになっているところで半年ばかりディバーシファイドという基礎テクニックを勉強していました。
どこのスクールでも同じでしょうが、最初に習ったのが「骨がどの方向にズレているのか」の検査法でした。背骨を一つ一つ触って行きながら度の骨がどちらの方向にズレているかを「診断」するのです。このズレのことをカイロプラクティックの世界ではリスティングと言います。
教わった先生は脊椎のわずかのズレも見逃さず的確にリスティングを指摘していきます。われわれ生徒はただ感心して見ているだけです。どうもカイロプラクティックの手技の上達のためにはこのリスティングが正確にできないとだめなようです。
それ以降も何人かのカイロプラクティックの達人の手技を拝見しました。皆さんリスティングの重要さを説かれます。「リスティングが正確に出せなければ矯正なんてできない。」という言葉に受講生一同大きくうなずいたことでした。
ところが、です。何年か経ってアメリカのカイロプラクティック大学を卒業した方の論文を読んで仰天しました。
カイロプラクティックの本場アメリカの大学ではリスティングはもう教えていないというのです。背骨は大まかに分けて首(頚椎)、背中(胸椎)、腰(腰椎)に分けられますがそれぞれを上中下にわければそれで十分だ、というではありませんか。
リスティングをうんぬんするのはどうも日本のカイロプラクティックだけのようなのです。
カイロプラクティックの作用機序としては神経を圧迫している脊椎のわずかなズレを取り除くことにより自然治癒力を高める、ということだったのですがどうもその理論が怪しくなってきているようなのです。
それでも骨はズレる、という主張をされるセラピストがいても別にかまわないと思います。というより私自身がクライアントに「この骨がこんな風にずれて・・・・」という説明をいまでもしています。ただ、何をもって骨がずれているというのかをクライアントに納得のいくように説明できなければなりません。
「頚椎の三番が右にズレている。」触診だけでそんなことを言うセラピストがいたら、ぜひ、その根拠を聞いてみてください。
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