直接法(またはスラスト)
脊椎やその他の骨を「ポキン」と鳴らす手技です。クラニオセイクラル専業になってからはめったに使うことはなくなりましたが時折著効を示すことがあります。
普通、脊椎に問題があるときはカウンターストレインという矯正法を使います。これは一定の肢位を取らせたまま90秒間安静にして脊椎のゆがみの原因になっている筋肉の緊張を取ります。たいていはこれで良くなってくれるのですがたまに「まだ違和感が残っている」と言う訴えがあります。
そんなとき、直接法を使うといっぺんに痛みが楽になることがあります。
この直接法(スラスト)は一般には評判が悪く、整形外科の医師はもとより手技療法を行う治療師でもこれを「危険だ」と言って嫌う人は多いです。そんなわけで「骨をボキボキしないソフト治療」を標榜される治療院がふえているのでしょう。
もとより意味のない荒療治(というかプロレス技?)は臨床の場では否定されなければなりません。しかし、スラストが危険なのは当たり前のことです。だって、治療と言うのは人の体に手を加えることなのだからどんな手法を使うにしろ当然危険を伴います。
その危険を回避するための担保として国家資格や免許があるのだ、と考えます。直接法が危険で間接法(さきにあげたカウンターストレインやクラニオも間接法)が安全だ、と無邪気に言っている人たちはたぶんその辺が理解できていないのでしょう。私にはそっちの方が危険に感じられます。
私が直接法を教わったのは開業前に研修させていただいた整形外科です。そこのリハビリ室では直接法を必要に応じて使用していました。鍼灸マッサージの資格を持った先生が勤務しておられ、親切に手技を教えてくださいました。
習った技を師匠にやってみてOKがでれば患者さんに使ってもいい。そうやって徐々に手技のバリエーションを増やしていきました。そのうちに師匠の指示なしで(自分の裁量で)手技をやってみたいものだと思うようになってきました。
そんなとき、母親がギックリ腰になりました。
「オカン、腰治したろか。」
「いらん。ほっといたら治る。」
「ちょっと今習てる手技、やってみたいねんけどアカン?」
「アカン、動かれへんようになったらどないすんの。」
「まあまあそう言わんと。すぐに治したるやんか。」
這って逃げようとする母親をつかまえて習った手技をやってみるとこれが一発で決まってきれいに腰痛が治まってしまったではありませんか。
翌日、師匠にその話をしますと「無茶するのは身内だけにしときや。」と言われました。
標準語に訳すなら「未熟な手技を試すなどという乱暴なことをしてはいかん。」という意味になるでしょうか。
ブログランキングに参加しております。下の「健康ブログ」をクリックしていただけると幸いです。
にほんブログ村PR