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大阪市西淀川区にあるクラニオセイクラル専門の整骨院院長のきまぐれ日記

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電気治療2

数日前に整体師が業務上過失致傷と医師法違反(無資格医業)で逮捕されたというニュースを見ました。

なかなか評判の良い整体師だったようで甲子園に出場するような高校から「選手を診て欲しい」という要請があったりしたと言います。

逮捕の容疑は電気治療器で患者さんにやけどを負わせた、というものです。

国家資格を持たない人が整体その他のセッション(巷のクイックマッサージなんてほとんどが無資格です)を行うことができるのは「医業類似行為は人の健康に害を及ぼす恐れがなければやってるだけでは禁止処罰の対象にならない」という通達が昭和35年に当時の厚生省から出されたからです。

たとえば「アメリカでは医療として認められている」というカイロプラクティックがなんで日本では「人の健康に害を及ぼす恐れがない=だれがやってもべつにかまわない」ことになってしまったのか理解に苦しむところではあります。

それはさておき「害を及ぼす恐れががない」はずの整体院で患者さんがやけどをしたのではシャレになりません。逮捕は当然のことでありましょう。

でも電気治療でやけどってどうしたらそんなことになるの?と思ってニュースを読んでいるとなんとこの整体師、一人の患者さんに7,8時間も電気治療をしていたというのです。

電気治療に限らず物理療法というのは体に「慣れ」を生じます。一定以上の時間行っても意味はないどころか危険なこともあります。治療時間が長ければそれだけ効くだろう、というのはまさに素人の発想で巷の無資格のセンセイ方にはこの程度の知識の方も決して少なくはありません。

過ぎたるはなお及ばざるがごとし、ということでしょう。医学知識は全然足りていないのですけれどね。

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御侍史と御机下(日本語は難しい)

患者さんを他の医療機関に紹介するときは紹介状を書きます。

特に柔道整復師の場合、骨折や脱臼の患者さんは一度医師に診察していただいて施術の同意を受けなければなりません。

その他にも患者さんが通常の経過をたどらない場合など医師の診察を受けることをお勧めします。

その際「脇づけ」をするのですが相手の医師の名前の後に「御侍史」、「御机下」をつけます。(それぞれ「おんじし」「おんきか(ごきか)」と読みます)

侍史とは秘書のことで、「私ごときが直接手紙を差し上げるのは恐縮なので秘書の方にお渡しいたします」くらいの意味です。

御机下というのは「直接手紙を渡すのは恐縮ですので机の下に置いときますね」といった意味だそうです。

両者ともに相手を敬う気持ちを表現したものですが、ふつう「御机下」は対等以下の相手に使います。私はそれを知らないで若いころに大恥をかいたことがあります。学生たちに同じ轍を踏ませてはならないので今はこういったことも授業で教えています。

ちなみに「侍史」とか「机下」がすでに敬意を表しているのだから「御」をさらにつけるのは誤用であるという話をネット上で読みました。

確かにそうなのかもしれませんが私が教えを請うている医師は三人とも「御侍史」を使われます。こういうときはこちらも「御」の字を省くわけにはいきませんよね。

もともとが国文学徒(実は日本酒専攻)だったものでこの手の話題は好きなのですが、げに難しきは日本語にございます。

リハビリテーション医学

自分の教えている科目以外の教科書を見ることはほとんどないのですが、ちょっと時間があるときに学校の書庫に並んでいる教科書を適当に引っ張り出しては眺めていました。

すると「リハビリテーション医学」の教科書に「マニピュレーション」という項目があってカウンターストレインやマッスルエナジーと並んでクラニオセイクラルもちゃんと記載されていました。

「脳脊髄液の循環を促す、云々」だけでは何のことかわからないでしょうけども。

ひょっとしてこういう項目も柔道整復師の国家試験に出たりするのでしょうか。なんか嬉しいなぁ。

ちなみにマニピュレーションというのは「用手操作」という風に訳されることもありますがようは手技療法を指すラテン語です。

カイロプラクティックも同じ「手の技術」という意味のこちらはギリシャ語由来の言葉です。マニピュレーションとは似て非なるもの、という思いで命名されたものなのでしょうか。クラニオはオステオパシーという別の医学体系由来の手技ですがカイロプラクターでもこれを使う人は多いです。

ずいぶん以前に呼んだ「カイロプラクティック物語」という本にはアメリカではカイロとオステの境い目が希薄になり「オステオプラクティック」と呼ばれることもあると書いてあったのですが本当でしょうか。

なんか「整形内科」、という言葉を唐突に思い出す私でありました。

グルート表

骨折した骨がくっつくのにどのくらいの期間が必要でしょうか?

もちろん年齢によっても違いますし(子供は成人より早くくっつく)同じ骨でもどんな折れ方をしたかによってくっつく期間は変わってきます。

それでも大体の目安、というのはわかっていてこれをまとめた人の名前をとって「グルト表」というのが作られています。

この表を見れば中手骨が2週間とか鎖骨は4週間とかそれぞれの骨のくっつく期間(骨癒合期間)が載っています。

ちなみに癒合に一番長いことかかるのが大腿骨頸部、といって足の付け根のところです。ここが折れると骨に栄養を送っている血管が断たれてしまう上に高齢者に多い骨折なので癒合がよくありません。グルト表を見れば「12週間」と載っています。現在では手術の適応になることがほとんどです。

柔道整復師の学校に入ると、まず教科書に載っているこのグルト表を暗記させられます。国家試験の問題として出題されることもあります。

ところがこのグルト表、実はオリジナルではありません。柔道整復学の教科書の「骨折の癒合日数」という項目に載っているグルト表にも「グルトの骨癒合日数を基準に実情を勘案し、おおむね下記の期間を一応の基準と考える」という但し書きがあります。

オリジナルのグルトの研究を見たことがあるか?と言えば恥ずかしながらありません。これは私が不勉強であるからだけではなくてたぶん柔道整復師で原典を見た人はいないでしょう。

それならどこからこの「グルト表」が出てきたのかと言うと「神中整形外科学」という本からの引用です。柔道整復学の教科書のもともとのベースはこの本ですから仕方ないのですが、ひょっとしたら「孫引き」という言葉すらわれわれの業界では知られていないのかもしれません。

この話、勤務先の上司(教科書の編纂にもかかわっておられる)からの受け売りなのですが考えてみれば骨折や脱臼についての海外の文献を読みこなせる柔道整復師が果たしているのでしょうか。

骨折や脱臼にこだわる限り柔道整復学の構築などはありえません。年に数例あるかないかの骨折や脱臼の症例を集めてみても質・量ともに整形外科にはかないっこありません。しかも医学(に限らず科学はみんな)論文はすべて英文、でしょう。原典に当たらずに何を言っても笑いものにもならないでしょう。

なんかむやみに難しいことをたくさん知っている柔道整復師は増えてきましたが、「学」というのは知識の量だけではないのだけどなあ、と思います。

選挙費で整体治療

与党の衆議院議員さんが昨年8月の選挙運動中、選挙費用で整体治療を受けていた事が新聞に載っておりました。

「選挙期間中は激しく活動するためどうしても疲労する。元気でいなければならず、活動費用として使った。」とのことです。

この出費の妥当性について新聞は懐疑的な論調ですし、当の議員さんも結局選挙運動費用からの支出ではなく自分の資金管理団体からの出費、という形に訂正したそうです。

これが疲労回復のための整体ではなく、発熱のために病院へ行った費用ならどうか。選挙費用の使い方についてのルールを知りませんのでこれが選挙費用の用途として妥当ではないのかもしれません。

しかし少なくともこのような論調の記事になることはなかったでしょうし、そもそも記事にはならなかったのではないか。

どうもこの記事を読んでいると、疲労回復のための整体治療=慰安娯楽、という手技療法への偏見が透けて見えるような気がするのは、もちろん私が手技療法を生業としているからでありましょう。

体のメンテナンスというのはいかなる職種のプロにとっても必要不可欠なものと考えます。仮に具体的な症状がなくとも常に心身をベストに保つというのはある意味、一流の人間にとっては義務ですらあります。

現在言われている予防医学にしても、体のゆがみを正す、という観点から考えるとわかりやすい。

体のゆがみがある種の疾患の原因になることは争う余地はないでしょう。手技療法というのは簡単に言ってしまえば体(運動器)のゆがみを正すことによって疾患を治癒させる手段、ということになります。

それならば、ゆがみが症状を引き起こす前に調整してしまえば疾患を未然に防ぐことも可能なわけで、これこそが予防医学の本流、と言ってもよいと思います。

国政を担うセンセイがたが強烈な心身のストレスにさらされているのは想像に難くないわけでせいぜい手技療法をメンテナンスの手段としてご利用いただきたいものです。

ニュースを見ているだけでストレスがたまる国政の方も何とかしてくださいね。



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プロフィール
HN:
かなや やすひろ
HP:
性別:
男性
職業:
柔道整復師
自己紹介:
大阪市在住。医療系専門学校で教えるかたわら自宅兼のちっこい治療院でクラニオセイクラルのセッションを行う。好きなこと:講義すること、治療すること、飲むこと。嫌いなこと:お医者さんごっこ
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