禁忌対象疾患(カイロ・整体にかかると危険!)
前にも書きましたように、無資格で(厚生労働大臣の与える公的な免許を持たずに)手技療法を業としておられる方は多いです。無資格無免許であっても取り締まりの対象にならない法的な根拠となるのは昭和35年の「(無資格の施術であっても)人の健康に有害の虞がなければ禁止・処罰の対象にならない」旨の判決です。
ただ、現実問題として無資格の手技療法(主としてカイロプラクテイック、聖体)による健康被害が無視できない状況になってきてようやく国も重い腰を上げました。平成3年、当時の厚生省はカイロプラクテイックに一定の範囲で規制を設けました。
具体的には1、禁忌対象疾患の認識 2、危険な手技の禁止 3、適切な医療受療の遅延防止 4、誇大広告の規制の四点です。
禁忌対象疾患というのは無資格のカイロプラクテイック治療院では施術の対象にできない疾患です。
具体的には「腫瘍性、出血性、感染性疾患、リュウマチ、筋委縮性疾患、心疾患等」とそれに加えて「徒手調整の手技によって症状を悪化しうる頻度の高い疾患」として「椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗鬆症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などと明確な診断がなされているもの」については、「カイロプラクテイック療法の対象とすることは適当ではない」ということになっています。
ここで誤解していただきたくないのはこれらの禁止対象疾患はあくまでも無資格のセラピストに対してのものであるということです。現在引用しているのは厚生省健康政策局医事課長通知(平3.6.28.医事58)なのですがこの通知は大きく二段に分かれていて前段の結びはこうなっています。「医業類似行為(無資格のセラピストをお役所ではこう呼びます)の施術が医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となるものであること」
これを受ける形で「いわゆるカイロプラクテイック療法に対する取り扱いについて」という項目が続き、そこでこの禁忌対象疾患が挙げられています。だから、これらの疾患に無資格で施術をすることは「有害の虞」があるから禁止します、ということを当時の厚生省は言っているわけです。2、以降の項目については次回に書くことにします。
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