ジュウドーセラピー?
何のことやら、と思われた方も多いでしょう。柔道整復のことを英語ではこう呼ぶことにしたのだそうです。
2001年、WHO(世界保健機構)に日本の柔道整復が民族医学、あるいは伝統医学として登録されたというのは業界人のみがよく知っている話です。
民族医学?確かに接骨術そのものは中国から伝えられて以来さまざまな形で発展してきたことは間違いありません。それを伝統医学、あるいは民族医学と呼ぶことに異議はありません。
ただし、現在の柔道整復のカリキュラムに含まれる手技は完全に骨折や脱臼の整復や固定です。しかも各傷病の分類や病理観も治療手技も全く現代の(少し型遅れではありますが)整形外科のそれです。江戸時代、あるいは近代までに伝えられてきた手法は学校教育からも臨床からも全く姿を消しています。
柔道整復学の教科書がまさにそうであるように「整形外科のダイジェスト版」のどこが民族医学、伝統医学やねん、という話ですよ。
もっとも「WHOに登録」というのは極めて政治的なことのようでたとえばカイロプラクティックやオステオパシーも柔道整復同様に登録されたのだそうですがこれらの療法もベースとなる哲学はあるものの「手技も行う西洋医学」というくくり方ができると思います。
オステオパシーでは投薬も行いますし、カイロプラクティックの手技には脱臼の整復も含みます。以前アメリカの「四肢テクニック」のテキストが日本で翻訳販売されたときに脱臼の整復の部分だけ除外されたという話を聞いたことがあります。
柔道整復に話を戻せば、実際のところ業務として行っているのは手技療法です。しかも古来の整復術とは何の関係も持たない手技を使う柔道整復師のほうが多分圧倒的に多いでしょう。クラニオセイクラルだって民族医学とも伝統医学とも縁がなさそうですよね。
要は「伝統」という言葉に逆に縛られてしまい無理やりに「柔道整復師としての独自性」なんてものを性急に拵える必要はない、ということです。伝統というのは現在のわれわれの仕事の積み重ねにほかなりません。
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