守秘義務
奈良市で自宅に放火して家族を死なせた高校生の捜査資料や調書が単行本に掲載された件で取り調べの際に精神鑑定を行った医師が高校生とその父親によって告訴された事件、覚えておられるでしょうか。きょうの夕刊で父親が法廷で証言を行った、という記事をお読みになった方も多いでしょう。どんなに理屈をつけても捜査資料や調書が医師からジャーナリストの渡ったことは明らかに犯罪です。刑法134条に「医師、薬剤師、(中略)又はこれらの職にあったものが、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて、知りえた人の秘密を漏らしたときは6月以下の懲役または10万円以下の罰金に処する。」とあります。「正当な理由」というのは例えば裁判の際に証言台に立つような時が想定されているようで有償無償を問わずジャーナリストに対し捜査資料を手渡した段階でこの医師はこの守秘義務に違反しています。
単純な犯罪であるにもかかわらずマスコミがこの事件を「報道の自由」を侵害する動きであるがごとき記事にしているのは単にマスコミの思い上がりでありましょう。なぜならこの守秘義務違反は親告罪といって被害者からの告訴がないと罪にならない種類の犯罪であるからです。つまり、この父子が自分たちの権利が侵害されたと思えばこそ今回の裁判は行われているからです。この辺を知ったうえで今後の裁判の成り行きを見守っていただければ、と思います。
さて、われわれ柔道整復師にも守秘義務はあります。大体医師に課せられているのと同じようなものとお考えいただければいいかと思います。だから、たとえば学会で症例を発表するときも患者さんが特定できないように細心の注意を払います。時折同業者のブログで守秘義務に抵触するようなものを見ることがあります。難しい症状が軽快してブログに載せたくなる気持ちはわかるのですがルール違反です。なお、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師にも同様の守秘義務が課されています。
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