整骨院のスタッフはみんな「先生」なのか?
最近は整骨院(接骨院)がずいぶんと増えました。これは整骨院で施術を行う柔道整復師の養成学校が急増したからです。私が業界に入った二十年ほど前には全国で十四校しかなかった学校が現在では八十校を超えています。定員もそれに伴って増えているわけで毎年数千人の柔道整復師が誕生しています。最近の整骨院の特徴としてとにかく広くてきれい、そしてスタッフが多いです。商店街などでこういう大規模な整骨院を見ると私などは羨望の念を禁じえません。なんせこちらは広さ七坪半、ベッド一床ですから「あー、ここの整骨院広くてきれいでいいなー。」と思うこともたびたびです。こういう大きな院にはそれに伴って患者さんもたくさん見えますので柔道整復師も一人では追い付きません。一人で診ることのできる患者数というのは限られていて若いころの私で一日五十人が限界でした。患者数が何百人というところではそれに見合った数の柔道整復師が当然いなければなりません。ところが、です。大規模な整骨院(特にチェーン展開しているようなところ)では柔道整復師が一人しかいないような院が結構あるらしいのです。では、白衣を着て患者さんに施術しているその他のスタッフは?といえば多くの場合養成学校の学生だったりします。学生のアルバイト、ないしは研修として整骨院で助手に入る、ということはよくあります。でも彼らに許されているのはシップや包帯の交換の手伝いくらいのことで、患者さんに施術するなんてことが許されているわけがありません。このことについては通達が何回も出されています。ほかの資格にたとえてみるとよくわかります。医学部の学生が病院で診察したり手術を行ったりするなんてことが許されると思います?「医師と柔道整復師は一緒にならない。」という理屈を聞くこともあります。でも、これはれっきとした不正行為なのです。柔道整復師の資格を持たないものが業務を行えば五十万円以下の罰金、と柔道整復師法に規定されています。さらに無資格の助手が行った施術で保険請求すればこれは詐欺になります。患者さんを大切にする、ということはへらへらお愛想を言ったり「患者様」という気色の悪い呼び方をしたりすることではなく、こういう基本的なルールを守ることだと思います。
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