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前回の続きです。無資格のカイロプラクティック施術に対して平成三年に当時の厚生省が行った規制についてお話しています。話が専門的になりすぎているきらいがありますが、無資格の治療院で何ができて何ができないのかを知っておくことは治療院を選ぶ際にも大事なことと考えます。今から十数年も前に出された通達であり、なおかつカイロプラクティックのスクールでは法律関係についてはほとんど習いませんので(人体に危害を及ぼす虞がなければ無資格で手技療法を行っても取り締まりの対象にならない、ということくらいしか習わないでしょう)当のカイロプラクティック施術者がこの通達について知らない可能性もあります。
さて今回は「危険な手技の禁止」です。通達では「頚椎に対する急激な回転進展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。」とあります。なんだかよくわからない文言ですが要するに首の骨を「ポキッ」と鳴らす手技は危ないから使ってはいけません、ということです。
カイロプラクテイックには大きく分けて三種類の手技があることになっています。まず、関節をポキポキ鳴らすスラスト法。それから間接法といって直接骨や関節にアプローチしない方法(ノンスラスト法。クラニオセイクラルと同様の原理で行うS.O.Tという手技体系があります)、筋肉にアプローチするマニプレーション法です。
カイロプラクティックや整体、オステオパシーなどの手技療法は柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師の有資格者が行うべきであるというのが私の持論なのですが不思議なことに有資格者であってもこのスラスト法を使ってはいけない、と固く信じている人がいます。この通達を理解するだけの国語力がないか、誰かの言っていることを鵜呑みにしているかのどちらかでしょう。
スラスト、という手技は頚椎だけでなく胸椎や腰椎に対するアプローチ法も存在します。厚生省(当時)が禁止しているのはこのうち頚椎に対するスラストだけです。だから極端な話、無資格のカイロプラクティック施術者であっても胸椎や腰椎へのスラストは行えることになります。(個人的には大反対ですけど)まして、有資格者が施術を行う際になんで無資格のカイロプラクティック施術の規制にお付き合いせんといかんの、というのが正直な私の感想です。もちろん頚椎へのスラスト法も有資格者であれば何の問題もなく行うことができます。
厚生省(当時)の通達以来、柔道整復師がスラスト法を使うのはけしからんという声をあちこちで聞きました。それこそ毎日のように患者さんの頚椎をスラストで矯正していた私はそういう風潮がカンに触ったもので「日本柔道整復・接骨医学会」で上記のようなことを論文にまとめ発表したことがあります。現在では私が臨床でスラストを使うことはほとんどなくなってしまいましたが。