報道は正義か?(健康食品をめぐるあれこれ)
ちょっと長い引用ですが昨日の朝刊の記事です。
「飲むだけで確実にやせる」「がんに効くといわれている」といった誇大な広告を使用する健康食品について、消費者庁は30日、悪質な業者名を12月から公表する方針を固めた。健康被害や効果がないなどの苦情が絶えないことから、健康増進法の運用を強化し、同法に基づく行政処分に初めて踏み切る。
健康食品で「がんが治る」などと医薬品のような効能をうたうと、薬事法に触れ、刑事罰の対象になる。
しかし、同法には触れないが、消費者を誤解させる広告は、インターネットを中心に少なくなく、国民生活センターには、健康食品について「飲んだら吐き気がする」「利用してもやせない」などの相談が、毎年1万5000件前後寄せられている。
健康増進法では、病気の予防効果や栄養成分の効果などをうたう広告で「著しく事実に相違したり、著しく人を誤認させるような表示」を禁止している。
消費者庁は今年6月以降、「最高のダイエット食品」「血行を整え、むくみを緩和」など、表現が不適切なネット広告を出している業者約300社に改善を求めてきた。12月になっても改善されない場合は、勧告を行った上で業者名を公表する方針だ。
消費者庁はまた、商品を著しく優良と誤認させる表示を取り締まる景品表示法の運用も強化する方針。
消費者庁が昨年9月に発足する以前は公正取引委員会の所管だったため、健康被害の防止よりも公正な競争の確保が重視されやすく、同法で健康食品の表示が取り締まられることは少なかった。【山田泰蔵】
引用はここまでです。
お読みになっていかがです?これは日毎新聞(仮称)の記事なのですが当の新聞紙面に健康食品の広告はいくらでも載っています。
きょうの朝刊にも「今まで何を飲んでも満足できなかった方に 15種類の成分が歩く喜びを実感させる(グルコサミンの広告)」「健康に肝心!ウスハ(仮称)の活性ウコン」なんて広告が並んでいます。
これは法的には問題のない広告なのでしょうがどう見たって効果効能をうたっていますよね。今日が特別なのかというとそうではない。同様の広告は毎日、新聞紙面のかなり大きなスペースを占めています。
でもおかしいと思いません?国民生活センターに寄せられている苦情は「効かない」「飲んだら体調が悪くなった」ということです。こういう健康食品を放置しておいて広告の文面のみを取り締まるのは健康食品に対する苦情に対し「それはアナタが勝手に誤解しただけ」と言うのに等しいでしょう。
そうして新聞が健康食品の広告を掲載し続ける、ということはこういった健康被害についてはむしろ業者の肩をもつ立場であることの表明であるといえます。広告収入が入ってくるのなら人の健康など知ったことか、ということなのでしょう。
さらに新聞折り込みについては完全に無法状態。強引な営業と法外な価格でトラブルが多いとされる「クレロラ(仮称)療法」のチラシは定期的に新聞に入っています。
健康食品による健康被害を新聞が本腰を入れて報じないのは莫大な広告収入のせいだ、とはよく言われます。でも実際のところそんな縛りがあろうとなかろうとカネになればそれでよし、というのがマスコミの本質なのかもしれません。
ワタシも健康食品を愛用しています。薬剤師さんの話ではちゃんとしたメーカーの健康食品の方が安いし品質もいいそうです。聞いたこともないようなメーカーが高額な広告料金を支払っても採算が合う。そういう世界ではあるのでしょう。
PR