試験に出るのは二割
今日は柔道整復師試験の対策講座、というのに呼んでいただきました。受験生相手に話をするのは実は治療師よりキャリアが長く二十年を超えます。教える対象は中学生の英語から大学受験生の現代文、そして現在の柔道整復理論と移り変わってはいますが。
いつでも言っているのが「試験に出るところは限られている。過去に出題された問題をきちんとやっておけばたいがいの試験には合格する。」ということです。世の中大体そんなもんで、重要な二割を押さえておけば物事の八割は解決します。これを発見者の名前をとって「パレートの法則」と言います。
勉強はしているのだけれど成績が伸びない、という人は満遍なく教科書や参考書を見ているだけで試験に出ないところに時間をかけています。全体を同じだけ勉強してるということは「試験に出る」箇所の四倍の時間を「試験に出ない」箇所の勉強にかけているわけでこれは効率悪いです。パレートはイタリアの経済学者ですので当然物事の効率を考えたのでしょう。効率よく物事を運ぶなら頻度の高い二割を押さえておけばいいわけです。
ところが、効率だけでは語れないものがあります。治療もそうですよね。誤解を恐れずに言えば治療や医療にも「パレートの法則」は当てはまります。医療機関のクライアントの八割は普通の処置で対応できるでしょう。整骨院でも同じ。ほっといても治る方もおられるかもしれません。(皮肉で言っているのではなく自然治癒という言葉があるのですよ。)でも、どこへいっても治らない方はいったいどうすればいいの、という話ですよね。
効率よく患者を診る、ビジネスとして治療を考えればそれで正解なのでしょう。難しい患者さんは追い返し、健康保険で手っ取り早く稼ぐのも効率、という面からとらえると正解でしょう。それでも私は「効率の悪い」治療に携わっていられることをありがたく思っています。

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