パクられた柔道整復師
新聞を見ているとまたまた大阪で整骨院の不正請求です。二人の柔道整復師がお互いの保険証を使うなどして(つまりAはBの、BはAの患者さんにそれぞれ成り済まして)保険での不正請求を行っていた由です。一人の柔道整復師は患者25人分で362万円、もう一人は患者7人分で397万円を不正に請求、とありますので本人同士だけではなくお互いの家族その他の保険証も使って不正を働いていたのでしょう。
こういう手口には「柔整互助会」、と言う名前が付いています。同業者同士でお互いの保険証を使い合うことを互助会になぞらえたものですがそういうネーミングが存在すること自体、この手の不正の多さを物語っています。
もちろんただで済むわけはなく、二人とも5年間の受領委任(保険取り扱い)停止処分です。官報でばっちりと氏名まで公示されます。かっちょいい話ですよねえ。
ところで今回の不正事件についての官報ですが、一人の柔道整復師の受領委任取り消しの理由はこの「互助会」だけではありませんでした。
「療養費の支給対象外の症状に対して行った施術を支給要件となる負傷名で施術録に不実記載し療養費を不正に請求していた。」
こういう理由が記されています。要は保険の対象とならない傷病に対して施術をしたにもかかわらず、これを療養費の支給対象の「骨折、脱臼、打撲、捻挫」のどれかと偽って保険請求をした、と言うことです。
もう一度同じ話の繰り返しになりますが柔道整復師の療養費の支給対象が「骨折、脱臼、打撲、捻挫」であることと柔道整復師の施術の対象疾患とは別問題です。もし、巷間言われているように柔道整復師が外傷性の傷病にしか施術ができない、と法で定められているものであれば保険取り扱いの停止だけでは済まなかったはずで医師法違反で逮捕されているはずです。細かい話は省きますが柔道整復師が業務外の行為を行った場合は(柔道整復師法16条違反)柔道整復師法ではなく医師法違反で罰せられることになっています。
で、実験です。パソコンの検索サイトで「柔道整復師 医師法違反」または「整骨院 医師法違反」を検索してみてください。実際の事件として柔道整復師が医師法違反で逮捕されたニュースと言うのは数年前、東京で柔道整復師の男が超音波(エコー)を使って診断をしたり外科手術(瀉血)を行って逮捕された一件くらいしか見当たりません。
施術の対象が外傷性であるか否かが問題になるのはあくまでも療養費の請求に関してです。もちろん不正請求が悪質であるならば逮捕、起訴されることもあるでしょうがそれはあくまでも詐欺罪です。
「柔道整復師 医師法違反」を検索してみると「柔道整復師が外傷以外に施術すると医師法違反」であるという書き込みはたくさん見られますが医師法と医療法(場合によっては薬事法)の区別もついていないものも見受けられます。
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