アルバイト研修?
全然知らない柔道整復師養成の専門学校から封書が来ました。「学生アルバイト研修受け入れに関するお願い」とあります。
「・・・さて、本日は鍼灸師・柔道整復師業界を目指す意欲ある学生を対象としましたアルバイト研修の受け入れに関しましてご案内申し上げます。これまで、このアルバイト研修をご理解いただきました先生方のご協力により、職業観を備えた数多くの卒業生を育成し、業界へ送り出すことができました。今後も本高は、先生方のご理解ご協力をいただき、鍼灸師学科・柔道整復師学科の学生には在学中に研修を通じて業界を知る事を推奨してまいります。」
要するに自分のところの学生をアルバイトに使いませんか、という勧誘なのですがこのことに関しては嫌というほど書きました。
整骨院、接骨院の助手というのは聞こえはいいですが実際には無資格で業務を行わせていることが多いです。
これはれっきとした違法行為で、しかもこれにバッティングすると「欠格事由」といって国家試験に合格しても柔道整復師免許をもらえない可能性があります。
それを承知の上で学校は、施術所は、そして学生自身は「助手」なる行為を行っているのか。実際のところ無資格の助手に施術を行わせて保険請求をしたのが発覚して保険停止取り使い停止になった例が出てきています。本当はもっと出てこないとおかしい。
そしてつい最近大阪であった無資格の鍼灸学生に鍼を打たせて患者さんを死に至らしめた悲惨な事件をみんなはもう忘れてしまったのでしょうか。(ちなみにこのとき学生と一緒に逮捕された経営者は「学生が勝手に鍼を打っていた」という意のことを言って罪を逃れようとしたそうです。学生はこの手の治療院にとってはまさに消耗品にすぎない、ということを露骨に示した事件でしょう)
医師の場合、臨床を行おうとすれば二年以上「臨床研修」を大学病院などで受けなければならない。柔道整復師にも臨床研修制度はありますがこれを受ける新卒者が少ないのは法的な規制がないことのほかに学生時代のアルバイトで「研修」を受けたつもりになっている柔道整復師が多いからでありましょう。
現に養成学校が「研修」という名称を使っていたりする。どういうことやねん、これは。
医学部の学生が病院で診察のアルバイトをしてそれを研修と称する。そんなことがあるはずもないでしょう。大体患者さんは教材か、という話ですよ。医師のマネがしたければそういうところからマネするべきでありましょう。
学生諸氏には薬店薬局でのアルバイトをお勧めします。こちらのほうは登録販売者の受験の際のキャリアとしてカウントされます。無資格で施術所勤務をしていてもいくばくかの小遣い銭と「俺は患者さんを治せる」という勘違い(これを今回着た封書では職業観、と言っているのでしょう)くらいしか得るものはありません。
下手すると柔道整復業界からの永久追放、というリスクと引き換えにするにはあまりに微々たるものだと思うのですが。
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