マトにかける
とある業界で「命を狙う」「ターゲットにする」ことをこう言うのだそうです。
さて、皆様もご存じかと思いますが大阪の「鍼灸院」で鍼灸学校の学生が無資格で患者さんに鍼を打って事故を起こした事件がありました。
資格のない学生が施術をしていた段階で弁解の余地は全くないのですが実はこの学生、柔道整復師の資格を持っていました。
それで付いた新聞記事の見出しが「柔道整復師 無資格で鍼灸治療」。明らかに柔道整復師をマトにかけた記事ですよねえ。
ちょっと待ってえや、という話です。これを見た人は「柔道整復師がまた何かやらかした」という印象しか持たないでしょう。
たとえば無資格の学生が同じように施術中事故を起こしたとしても(もう一度念のために書いておきますと事故が起きようが起きまいが学生に施術を行わせている段階で雇用側の治療院も学生本人も完全にアウトです。)昼間会社員をしていて夜間に鍼灸院でアルバイトをしている、といった場合「会社員 無資格で鍼灸治療」という見出しにはならんでしょう。
つまり、この新聞記事の見出しにはある意図をもったバイアスがかかっている、ということです。
ひょっとすれば「治療院では無資格の学生が助手という名目で無資格で施術を行っている。」あるいは「チェーン展開しているような接骨院ではスタッフの多くが学生である。」といった業界の浄化に資する記事も書けたでしょうに「柔道整復師がまた何かやらかした」程度の記事に矮小化するくらいのアタマしか新聞記者さんにはないのでしょう。
柔道整復師をマトにかけたつもりがあさっての方向を向いていた、という笑い話でありました。
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