消耗戦
街中を歩いていても「整体」とか「リラクゼーション」の看板を本当によく見かけるようになりました。
街頭で配るチラシにも、同様の治療院(サロン、と自称することも多い)のものが増えました。そういうチラシを見ているとこちらが心配になるような低価格のものがあります。
大体この手の業種の料金は十分千円が相場と言われます。一時間なら六千円、ですね。ところが最近もらったチラシには驚いたことに相場の半額くらいの料金が記されていました。
一応「初回限定」と書かれてはいましたがそれでも安い。それにそういうチラシで来院したクライアントが正規の金額を支払う固定客になることは正直考えにくいですよね。
一回、うちの近所に焼き肉屋さんが新規オープンしたとき「ビール百円」というキャンペーンをしたことがあります。開店当日から三日間は大盛況。通りに焼き肉の煙とにおいが充満したものでした。
ところがビールが通常の値段になった四日目からは客足は激減、日ならずして閉店、と言うことに相成りました。
マーケティングの本を読んでいても、この「値引き」というやつは麻薬のようなものであると書かれています。目先の売り上げは上がるのだけれど、利益にならない。じわじわと会社の体力を落として、やがて死に至らしめる、と。
治療院業界では利益率が高いので(坊主丸儲けと同じ意味で「按摩つかみどり」という言葉があります。)値段をうんと下げても利益があげられると踏んでのことと思われます。
さらに言えば、リラクゼーション店の大手では併設の「スクール」(無資格のセラピストを短期養成する)の臨床実習と言う建前で受講者をほとんど人件費なしで使うことができるので採算が合うのかも知れません。
それでも、です。たんに利益率が高いという理由で治療院を開業したりセラピストになったりした人に自分の体をあずけたいと思います?
柔道整復の現場でも同様の消耗戦が行われています。健康保険を使う分には患者さんの負担金は減らすわけにはいきませんので(法律で決まっています。だから一部負担金をサービスしてくれる整骨院はインチキを行っていることになります)手技療法の時間を長くするのだそうです。
「あそこの整骨院は長いこと治療してくれる」というのが「売り」になったりしているようです。
消耗戦の原因は、治療院をビジネスとしてのみとらえている(経営を考えることは大切なのですが)セラピストの側にあるのでしょう。
でも、それって楽しい?
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