インフォームド・コンセント再び
インフォームド・コンセントとは「患者さんの自己決定権の行使」のために治療者側が必要な情報を提供する、というのが基本的な考え方でありましょう。
ところが柔道整復師教育の現場で使用されている「柔道整復学(理論編)」という教科書ではどうも、ここのところがわかっていないようなのです。
たとえば111ページ、「インフォームド・コンセントの観点から、患部の状態や選択する施術方法などを詳細に説明し、同意を得ることが必要不可欠である。」とあります。
これって柔道整復師側の視点ですよね?患者さんの自己決定権はどこかへ行ってしまっています。
教科書の言わんとすることは患者さんに施術を受けることを同意してもらうために「説明」が必要だ、という話でこれは要するに柔道整復師のセールストークでしょう。
同書を見ればインフォームド・コンセントという文言すべてが単に「説明」という語に置き換えられる使われ方です。
たぶん、「患者さんにはちゃんと説明しとかんとアカンで。」というのを横文字で「インフォームド・コンセント」というんだろうなあ、くらいの認識なんでしょうね。
臨床の現場でのインフォームド・コンセントと言えばせいぜいが猫撫で声で「ここの筋肉が硬くなっていますねえ。そのせいで痛いんですよ。毎日通っているうちにだんだん良くなっていきますよ。」てなことを言うくらいが関の山なんでしょうか。
学の構築、を本気で考えているのならまず教科書を何とかしろよ。
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