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第18回柔道整復師国家試験の結果が出ました。フタを開けてみれば現役の平均合格率が90パーセントを超えるという結果だったのですが私は何か腑に落ちません。
あちらこちらで話題になっていた必修問題30番なのですが、(この件については難問に似て愚問、という記事を書いていますのでそちらをご覧下さるとありがたいです)結局のところ1でも2でも正解、というところで落ち着きました。
この措置については文句を言うつもりはありません。
ただ、ペーパーテスト的にこの問題を検討すれば2のみを正解として出題されていることはまず間違いありません。
中足骨骨折は直達外力によって骨幹部が骨折した際には開放性になり易く、介達外力(足の内がえし=基底部の裂離骨折=下駄骨折)によるものは皮下骨折であるのが普通です。
さらに疲労骨折もあるわけでこちらは当然開放性にはなりません。
出題者が「中足骨骨折」とだけしか言っていないのですから骨幹部の骨折か下駄骨折か疲労骨折かはわからないわけで答えようがない、というのが正直なところでしょう。「骨幹部骨折は開放性になり易い」なら普通にマルをつけられるし「介達外力によるものは開放性になり易い」なら簡単にバツが付きます。
三者の内でどれがもっとも多い、という記載も柔道整復学の教科書にはありません。
要するに何を言っているのかわからん選択肢ですから、こんなのが正解になるわけが本当はないのですよ。
ただ、前回指摘しましたように受験生(のほとんど)が愛用している参考書に「中足骨骨折は開放性になり易い」という記載があり(私はこの参考書に対する嫌がらせの要素も多分にあると思っています)、さらに学校で使用する「整形外科」の教科書にも同様の記載があったため多くの受験生が引っ掛かってしまったのでしょう。いわばこの問題30は悪意のある設問であったと言えるのでしょう。
そうして、もめるのを承知でこんな問題が出題された意図についても考えてみる必要があるでしょうね。
今回の場合、3つのパターンが考えられました。
a.2のみを正解とする
b.1,2を正解とする(今回はこの措置が取られました)
c.不適切問題として採点から除外する(必修問題は29問、そのうち8割とれ
ないと不合格)
a.のパターンとb.のパターンで合格率がどう変わるかを(全受験生のデータではありませんが)あるところで試算した数字を教えてもらいました。両者でおおよそ10パーセントの開きがあったそうです。
だから下手すると今回の国家試験の合格率も(比較的一般問題は基本的であったにもかかわらず)80パーセント程度であった可能性もあったわけです。
今回は合格率が高かったので誰も文句は言いませんが、誰かの意図で試験の結果なんてどうにでも変えられる、というお話でした。