城崎にてその2(どこかの業界とそっくり、だったりする話)
城崎温泉の外湯の話の続きです。外湯めぐりにははじめて行ったのですが印象としては「普通の銭湯やん」でした。自分の家を持つまでは銭湯通いをしていたのですが大体おんなじような印象を受けました。もちろんお湯は天然の温泉でしょうしそれなりに工夫はしてあるのですが泊まっているホテルの内湯の方がはるかにいい。
外湯巡りの料金なのですが一か所の湯治場につき六百円の入浴料の表示はありますが実際に払っている人は皆無です。温泉街の旅館、ホテルのフロントには入浴券が置いてあってこれを提示すれば無料で入浴できることになっています。入浴券が何らかの形で現金に代わり湯治場の収入になるシステムなのでしょう。ホテルの名前の入った浴衣を着ていることが入浴券を使うことのできる条件で、チェックアウト後は入浴券は使用できないというのですから外湯は完全にホテル、旅館の付属設備、あるいはアトラクションといった位置づけです。
従来(とは言っても大正時代とかそのくらい昔の話)、城崎温泉の旅館には内湯はなかったそうです。湯治客は宿から湯治場まで出かけて入浴する決まりになっていたようで、内湯を引こうとした旅館が組合から除名されたり裁判になったり大変長い間もめたようです。
このころは温泉が主、あくまでも旅館は従でした。
ところが現在はどうでしょう。私が城崎に出かけたのも「カニ」が主目的ですしたぶん十数回城崎に行っていますが外湯めぐりは初めてでした。旅行会社でホテルを選ぶ時も「カニ」の話は出ても温泉は全く意識しませんでした。同じだけのレベルのカニ料理が出れば外湯がなくなったとしても私はいささかの痛痒も感じないでしょう。
私が特別食いしん坊だから?もちろんそれもあるでしょう。でも泊まったホテルの客室係の人に聞いてもカニのシーズン以外はものすごく暇なんだそうです。
だから城崎においては温泉は「カニのおまけ」、これは言いすぎとしてもワン・オブ・ゼムの位置づけにあることは否めません。温泉を主目的に城崎を訪れる人は皆無とは言いませんが多くはないでしょう。
でも、外湯巡りの湯治場はどこも混んでました。シーズン(カニの)を外れてこれなのですからピーク時はもっとすごいのでしょう。ただし各ホテル、旅館の内湯はもっと広くてゆったりしています。にもかかわらず、外湯が繁盛しているように見えるのは「入浴料が実質無料だから」です。
「タダだから来ている客」で混雑している外湯を見ながら似たような状況の業界に身を置く私は複雑な気分でした。
にほんブログ村PR