柔道整復師は過剰か?
ニュースによれば私立大学歯学部の六割が定員割れなのだそうです。理由賭して歯科医師の過剰が挙げられています。歯科医院の数は「コンビニエンスストアより多い」のだそうで以前のような高収入が望めないのが歯科医師を志望する学生が減少した理由である由です。
実際、最近の歯科医院経営と言うのは大変だそうです。子供時分に通っていた歯医者さんはものすごく混んでいました。そしてずいぶん痛かったしおっかなかったです。歯を削る「キーン」と言う音と神経に響く痛み、それに「あーもう、じっとしとかんと治療できへんワ」と舌打ちせんばかりに言い放つ歯科医師の言葉はトラウマの三題話のように私の脳裏に残っています。
高校三年生のとき、右の奥歯が虫歯になり治療してもらいました。その後、十年に一度くらい詰め物が取れますので歯科医院に行って詰め直していただくのですが行くたびに先生が優しく親切になっているのを実感しました。
そして、数年前、その歯が強烈に痛み出しましたので近くにできたばかりの歯科医院に出かけました。普段教えている学生と変わらないくらいにしか見えない若い先生はそれは丁寧に診察した上で現在の歯の状態やら治療方針やらを懇切丁寧に説明してくださいました。歯を削るときに麻酔をされるのも初めての経験なら注射の間に「星に願いを」のメロディーが流れるのにも感心しました。
ほとんど痛みを感じることなく治療は進み、歯茎がはれてぐらぐらしていた奥歯が痛くもなんともなくなり普通にものが噛めるようになった時、私は心底感激しました。
もちろん医学の進歩やインフォームド・コンセントの普及と言ったこともあるのでしょうが子供のころ感じた歯医者さんに対する恐怖感と言ったものは全くなくなってしまいました。そこの歯科医院では子供の患者さんもたくさん来ていましたが泣いている子を全く見ませんでした。
医療をサービス業とみなす考えには異論もあるでしょうが従来痛い、怖いだった歯科医院での治療が苦痛なしに(それどころか快適に)受けられるというのはまぎれもなくサービスの向上でしょう。そして、それが歯科医師の過剰によって競争原理が働いてのことであるならばそれは患者である我々にとってもいいことだと考えます。
さて、翻ってわが柔道整復業界です。サービスの向上は心がけていらっしゃるところが多くなっているのはよく聞く話です。ただ、治すという根本的なサービスがまったくできない(考えてもいない?)ところも多いようです。数が増えようが競争原理でサービスが向上しようが肝心の「治す」ことを忘れていたのでは存在価値はありません。
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