整骨院でカイロプラクティックを行うのは違法か?(ヒポクラテス法とガンステッド・テクニック)
柔道整復師が施術所内でカイロプラクティックや整体などの施術を行うことは違法である、と掲示板の類に書き込みされているのを見ることがあります。
整骨院を開設する際には都道府県知事に開設届を出すのですが、その際の注意事項に「施術所(整骨院のことです)内で他の医療類似行為を行うことはできません(整体、カイロなど)」と明記している都道府県があります。
そういう注意事項を出していないところでも、「整骨院内でカイロプラクティックを行っていいですか?」と尋ねれば間違いなく「NO」の返事が返ってくるでしょう。
それは私の整骨院であっても同じことです。
「え?でもクラニオセイクラル(以前書きましたように、これはオステオパシー由来の手技療法です。オステオパシーとカイロプラクティックは乱暴な言い方をすれば親戚筋に当たります)専門の整骨院って自己紹介してるやないの。それっていいの?」と言う声が聞こえてきそうですね。別に問題はありません。ではそれはなぜか?
行政が整骨院で他の医業類似行為をしてはならん、と言う根拠は柔道整復師法施行規則第18条によります。
施術所の構造設備の基準を定めているのですがその中に「専用の施術室」と言う文言があります。これはどういうことかと言うと「整骨院の中では柔道整復以外、行ってはならない」と言う意味です。
ところが柔道整復の業務の定義は「柔道整復師が適法に行う行為」としか言いようがありません。医師にしか許されていない外科手術や投薬、診断行為など、あるいは鍼灸師にしか許されていない鍼、灸の施術などを除けばほとんどなんでもありなのです。(マッサージについては微妙。これについては以前の記事をご覧ください)
そして、骨折や脱臼の整復法については医師とほぼ同様の手技を行います。要は柔道整復とは医業の中の限定された領域を指すものと考えるのが適当かと思います。それが証拠に医師は柔道整復師の資格を持たなくても柔道整復を業とできる、と柔道整復師法にあります。
さて、以前の復習です。カイロプラクティックや整体などの業務を特に資格なしでも行うことができる根拠は昭和35年に出された「医業類似行為は人の健康に有害の虞がなければ禁止処罰の対象にならない。」と言う最高裁判決でした。それなら誰にでも許されている手技療法は柔道整復師の業務に当然含まれることになります。
さらに、無資格のカイロプラクターが行うことのできない手技や、禁忌対象疾患についてもこれを柔道整復師にあてはめる法的な根拠がありません。
整骨院が「カイロプラクティックを行ってもよいか?」と言えばNOでした。ただし、カイロプラクティックのテクニックを柔道整復に取り入れることには何の問題もありません。(整骨院の看板にカイロプラクティックや整体を併記することは柔道整復師法24条―広告の制限にバッティングしますので不可です)
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