柔道整復師の業務に「マッサージ」は含まれるか
現在、柔道整復師の学校で「関係法規」と言う科目を教えています。今週が第一回目の講義で、学生たちに表題のような質問をしてみました。
全部で六クラスを担当しているのですが指名して答えてもらったところ「含まれる」と「含まれない」は大体半分づつくらいでした。
マッサージ師さんは正確には「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格です。三年間専門の学校に通って厚生労働大臣の行う試験に合格しなければ取得できません。そして業務独占、といって「あん摩マッサージ指圧師」の資格がなければマッサージ(もちろんあん摩も指圧も)を業として行うことはできません。
例外として認められているのが理学療法士さん。病院や診療所で医師の指示があればリハビリテーションの一環としてマッサージを行うことができます。
さて、柔道整復師はどうか?昭和32年の厚生省からの通達に「柔道整復師が柔道整復行為を行うに際し、社会通念上、当然に柔道整復行為に付随するとみなされる程度のあん摩(指圧およびマッサージを含む)行為をなすことは差し支えない」「柔道整復師が医師または患者の要請等により単にあん摩(指圧およびマッサージを含む)のみの治療を必要とする患者に対し、その行為のみを行うことは(中略)規定に違反する」というのがあります。
だから柔道整復業務(これは必ずしも骨折・脱臼・打撲・捻挫に対する処置だけではない)に付随する程度のあん摩マッサージ指圧行為は差し支えないけれど、あん摩マッサージ指圧のみを行うのは法律違反ですよ、と言うことです。あん摩マッサージ指圧師の先生方に対しては無礼な物言いになるかもしれませんが、だから冒頭の問いに対する答えはイエスでもノーでも正解のように思います。
柔道整復師の業務にマッサージが含まれるか否か、と言う問いに対する答えにはその柔道整復師の見識が顕われるのでしょう。
誤解のないように言っておきますが、巷間言われるような「クイックマッサージまがい(ちょこちょこと適当に揉むだけしかできない、しない)」の整骨院で行われているような手技はマッサージでもなんでもありません。マッサージでもあん摩でも指圧でもずっと奥の深いものであることは充分に承知しているつもりです。
法律での定義がないために「柔道整復とは柔道整復師が行う行為」としか言いようのない現在、「柔道整復とは何か?」を考えることも私たちの重要な仕事なのだと思います。
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