スイッチマン(柔道整復師むかし昔)
何のことかと言いますとかつて柔道整復師を揶揄するのに使われた呼称です。
私が学校に入学したころにはすでに柔道整復師が骨折や脱臼の患部に施術をすることは少なくなっていました。そのころ大方の整骨院ではどんなことをしていたのかと言いますと患者さんに低周波治療器をあててホットパックで温めます。
それでおしまい。
患部が腫れている場合には湿布を貼って包帯を巻いたりしますが基本的にこのパターンでした。これで患者さんが来院したのかというとものすごく来たのだそうです。
乱暴な言い方をしますと保険治療というのは数をこなしてナンボ、の世界です。電気治療にホットパックくらいなら技術もなにも要りませんから本当に流れ作業だったのでしょう。
しかも業界は寡占状態。専門学校に入ろうにもコネと金がなければかなわなかった時代で、なおかつ学校そのものがほんのわずかしかありませんでしたからなかなかおいしい商売ではあったようです。
当然、ギョーカイの外からは非難の声が聞こえてくるわけでその一つが「スイッチマン」という呼称であるというわけです。
ちょっと前に学校関係の偉い先生のお話を伺ったのですが、「昔は電気あてとくだけでベンツに乗れとったのになぁ。」というお話でありました。
その頃の柔道整復師は幸せだったのでしょうか。保険を使って儲かっていたからそれでよかったのでしょうか。それとも真剣に患者さんを治そうと低周波をあてホットパックを巻いていたのでしょうか。
ママチャリに機嫌よく乗っている毎日もなかなか幸せなのですが、私もスイッチマンでベンツに乗ることができていれば幸せの感じ方も変わっていたのでしょうか。
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