名称独占?
世の中の資格には法律で名称や業務を「独占」しているものがあります。
たとえば医師以外の人は医業をすることはできません。これを医師の業務独占と言います。
同様に医師以外の人は医師、またはこれに紛らわしい名称を用いてはならないと法律で定められています。これを医師の名称独占と言います。違反したならば医師法で罰せられることとなります。「何とかドクター」を自称するセラピストがたまにいますがこれも同じ。もちろん大学で博士号を授与されていれば問題なくドクターではあるのですが。
さて、カイロプラクティックや整体の国家資格は日本では存在しません。だから名称や業務独占も存在せず、ぶっちゃけた言い方をすれば誰でもこれらの療法を業とすることができる、というのが現在の日本での法解釈です。
「海外ではドクターとして認められている」カイロプラクティックが日本では「だれでも自由に業としてできる。」不思議な話ではあります。
こういう現状が一番面白くないのは実はカイロプラクティック業界内部の人のようです。あちらの業界の偉い方々は大体アメリカのカイロプラクティック大学を卒業しておられるようで、そういう方からみれば数カ月程度の講習を修了しただけの人間が自分たちと同様にカイロプラクティック・ドクターを自称しているのは我慢ならん話なのでしょう。
ところが先に述べたような理由で日本では業務も名称も独占できない。日本でカイロプラクティックが法制化されない理由にはこういう即席セラピストと一緒にされたくないという人々の思惑があるのやもしれません。
ここから先はうわさ話に基づく憶測です。事実誤認がありましたら直ちに訂正します。
実は「カイロプラクティック」を国家資格にして名称、業務を独占するかわりにとってもいいアイデアを考え付いた人たちがいるようです。「カイロプラクティック」を商標登録するという手段です。
そうすれば自分たちの団体以外のセラピストが「カイロプラクティック」を標榜することを実質的に阻止できます。「オステオパシー」についても同様に商標登録されているらしく、いってみれば普通名詞のはずのカイロプラクティックやオステオパシーを「商標」として認めてしまう日本の特許庁のセンスもなかなかのものです。
個々のテクニックについても商標登録や著作権を主張している人は増えてきています。カイロプラクティックでは「仙骨・後頭骨テクニック」の創始者の身内が同療法の著作権を認められ、日本で出版されていた同療法関係の書籍は軒並み絶版になりました。
「ナントカ療法の健全な発展のため」という言い回しにはなっていますが要は利権の独占のためでありましょう。商標登録はある意味ジャストミートです。
商標登録にバッティングしたかどでペナルティーを受けた例を寡聞にしてまだ知りません。ただし、最近流行のコンピューターを使った治療法の「何とかセラピー」がわざわざ「ウチはカイロプラクティックではない」ということを主張されるのもこの問題と無関係ではないでしょうね。
ちなみに柔道整復師は業務のみ独占です。だから柔道整復師を自称してもそれだけでは罪になりませんが、無資格の人間が整骨院で施術をすれば罪に問われます。
PR