学生って結局は無資格者でしょ?
先日大阪の治療院で鍼灸の学校に通っている柔道整復師が患者さんに鍼治療を行って死亡させた事件で、当の学生と同時に治療院の院長も逮捕されました。
一般の方から見れば「当たり前のこと」にうつりますが実は結構画期的なことなのでありました。
無資格の人間が(鍼灸学校の学生は鍼灸師ではありません)鍼治療を行えば違法なのは誰でもわかります。(実際には無資格施術=あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律違反ではなく業務上過失致死容疑で逮捕されたようですが)
ところが無資格の人間を雇って業務をさせていた人間のほうはなかなか罪には問われなかったのです。
治療師関係の法律にはスタッフが違反した場合に経営者が罪に問われるものと(これを両罰規定といいます。選挙違反の連座制のようなものとお考えください)問われないものがあり、無資格施術には両罰規定は適応されないことになっているのです。
それが今回、院長のほうもあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律違反で逮捕されています。このあたりの法解釈がいまひとつはっきりしないのですが無資格での施術を指示しただけでも違法である、という考え方が広まってゆくことを期待するものです。
学生はあくまでも学生であって人の体をさわる資格を持ちません。無資格の学生を使って施術をさせることがほぼ常態化していることが整骨院をはじめとする治療院業界の最大の問題点でしょう。
業界幹部が唱えている「柔道整復は医療」である、というのが全くの空念仏であることはこのことで明らかです。彼らの施術所にもきっと無資格のスタッフがいて堂々と白衣を着てくだらない治療まがいの手技を行っているのでしょう。
私は別に柔道整復が医療でなくてもいいのですが、専門職としての責任というものを感じるのならば(あるいは商売人の仁義、でもかまいません)素人に大事なクライアントをさわらせるなよな、と思います。
さて、この問題については当然健康保険の取り扱いが絡んできます。無資格の人間に施術をさせて保険の不正請求をする、という手口は今やほとんど罪の意識もなく行われていますがこれはれっきとした犯罪行為です。
行政も動き始めています。無資格の従業員の施術を柔道整復師が行ったものとして保険請求していた整骨院が今年の1月に保険取り扱い(受領委任払い)5年間停止の処分を受けています。
整骨院で施術するのは柔道整復師である。何事の不思議なけれど、です。
PR