治療師のヒエラルキーについてその2(ボスをぶちのめせ)
治療院業界と言うのは一種のギルド、徒弟制の世界ですから上下関係が存在するのは当然のことかもしれません。そして私が属する柔道整復師の世界はその名の通り武道由来の業務ですからさらにその傾向が強いのも、これまた当然なのでしょう。
徒弟制、上下関係の残存が許容されているのは「技術」がそのような形でしか伝わらなかったからです。師匠の家に住み込み雑用に追われながら師匠の技術を学んでいく、あるいはそれに近い条件(たとえば無給で丁稚奉公の如く施術所の雑用をする)以外に柔道整復をマスターする方法はない、というのが十数年くらい前までの業界の共通認識でした。
そしてそれに異論を唱えることは許されませんでした。
まず、学校に入学するのに関係者とのコネが必要でした。そしてそれに伴う裏金も。だから柔道整復師を志す者はまずコネのある先生の所へ弟子入りして無給で働き続けなければ学校への入学すらかなわなかったのです。幸いにして柔道整復師学校の新設が相次ぎ、特別なコネがなくとも誰でも入学できるようになり徒弟制度は崩壊しました。それと同時に柔道整復師の質の低下が言われるようになりました。いわく、徒弟制度の消滅と同時に技術の伝承ができなくなり、先達の高度な技術が伝わらなくなった。
それならそのころ柔道整復師になった者、すでに柔道整復師であった者は、みな優れた技術を持っているのか?これは業界の現実をご覧になればわかるでしょう。
整骨院のクイックマッサージ化が最近の堕落した柔道整復業界の象徴のように言われていますがそれは嘘です。以前からそういう整骨院は多かった。そのころそんな言い方をされなかったのはクイックマッサージと言う言葉がまだできていなかっただけのことにすぎません。
要するに柔道整復業界では制度としての徒弟制度はあったのですが、肝心の伝えるべき技術が存在しなかった。笑える話ではありませんか。
現に私が治療技術を学んだ先生はいずれも柔道整復師ではありませんでした。柔道整復業界の徒弟制度とは裏金を取って学校に入学させる、させてもらうだけの関係にすぎなかったのです。
免許を取って、どこか整骨院に就職して治療技術を学びたいという相談を受けた時は「技術はカネで買え」と言うことにしています。大半の整骨院には大した技術はないし、あったとしたらおいそれとは教えてくれません。
それならカイロでも整体でもそのほかの何とか療法でも、いいと思ったセミナーを受けて技術をものにした方が早いです。
卒業して開業すると今度は同業者との関係がいろいろ出てきます。これについては次回。
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