湿布は投薬か?
前回書きましたように柔道整復師は投薬(と、その指示)を行うことができません。
それでも接骨院に行くと塗り薬を縫ってくれたり湿布を貼ってくれたりしますよね。あれっていいの?
これについては厚生省の時代に通達が出ています。
「患部を薬品で湿布するがごときも理論上薬品の投与に含まれると解するが、その薬品使用について危険性がなく且つ柔道整復師の業務に当然伴う程度の行為であれば許されるものと解する」
要するに湿布を貼ったりサロメチールを塗ったりするくらいならまあ構へんで、とでもいった意味でありましょう。
湿布、といってもかつては鉛糖水(酢酸鉛)という薬品を主に使っていたそうです。もうちょっと時代が下がると泥膏、といって一斗缶に入ったどろどろした薬品をガーゼに伸ばして幹部に貼るようになりました。いちいち患者さんが来るたんびにそんなことをしていられませんからあらかじめその日に使う分の湿布をガーゼに伸ばしておくのが整骨院の新弟子に与えられる最初の仕事だったと言います。
当時の弟子は住み込みでしたから掃除洗濯その他の雑用ももちろんこなしての上なので結構な労働ではあったことでしょう。学校時代にはそういう仕事をさせられているクラスメートもまだ少しはいました。
現在は湿布、と聞いて思い浮かぶはがき大のハップ剤が主流でこれをペタン、と貼るだけでしまいです。整骨院の弟子の労働量は激減しましたがその分無資格の身で施術(違法なマッサージ)をさせられることとなり、こちらの方が問題は大きかったりします。
良く聞かれるのが温感湿布と冷感湿布の使い分けです。「どっちを貼ったらいいの?」というご質問を受けますが薬効としてはほぼ同じだそうです。温感湿布は実際に温めるわけではなく唐辛子エキスで皮膚の温点(温かく感じる場所)を刺激しているにすぎません。
だから「どっちを貼っても同じ。気持ちよく感じる方でいいんと違う?」とお答えするようにしています。これと実際に温めたり冷やしたりすることとの臨床的な意味は違うのですが両者を混同している人は多いです。
クラニオ専業なので湿布を使うことはほとんどありませんがごくたまに必要なこともあります。ウチで使う湿布は生薬の粉末を練って作りますのでその都度陶器の鉢でこねて作ります。悠長なものです。
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