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同じ話題について繰り返し書くのはどうかと思うのですが、奈良で高校生が自宅の放火して家族を死なせた事件についてもう一度書きます。この少年の精神鑑定をした医師が捜査資料をジャーナリストに渡したことが秘密漏示罪に問われて裁判になっています。医師が正当な理由なく業務上知りえた人の秘密を漏らせば、罪に問われることになっています。
この医師は、少年の精神鑑定を「学識経験者」として行ったもので医師の業務として行ったものではではない、と主張しています。また、少年に殺意がなかったことを取材を通して広く知らしめることが秘密漏示の「正当な理由」に当たる、とも主張しています。
これを読む限りこの医師は医師という職業を見くびっています。医師の資格がなければただのオヤジです。誰がそんなものに自分の秘密を話すでしょうか。医師でないものの精神鑑定が裁判の証拠になると本気で考えているのでしょうか。裁判上の戦略で言っているのでなければこの医師はただのお利口さんです。医師という資格への尊敬を、自分への尊敬と勘違いしてしまったのでしょう。
さて、これも以前に書きましたが医師が守秘義務を破ってもそれだけでは罰せられません。被害者の告訴があって、初めて罪に問われます。(親告罪といいます)だから、この事件でも被害者が告訴をしているわけです。
ところがどうでしょう。このことに触れたマスコミ報道は私の知る限り皆無です。取材源を示すことがマスコミの倫理に反するかどうか、という話題に終始しています。取材への公権力の介在を許した、と場違いなところで反省しているマスコミ人もいました。こちらも件の医師と同じおつむの構造なのでしょう。
人が一番関心があるのは自分自身、と言われますがこれはマスコミでも同じなのでしょう。勘違いした医師が自分の独善で法律違反をした、このことと取材源うんぬんは同列で語られるべきことでは決してありません。
私たちはマスコミの倫理がどうの、という話に惑わされて医師の人権侵害について何も知らされずにいます。
というよりマスコミはマスコミのために存在するのかも知れません。以前、クラスター爆弾の禁止運動を声高に訴えていた新聞社の記者が取材先の国でそのクラスター爆弾を(そうと知らずに)持って帰ろうとした事件がありました。スーツケースに入った爆弾が爆発して現地の人が巻き添えで亡くなったと記憶しています。
それでもその新聞は「ストップ!クラスター爆弾」というキャンペーンを張り続けました。
奈良の事件の医師は常識で考えて有罪だと思うのですが、そうなったらなったでマスコミはみんな揃って「取材への公権力の介入」を悲憤慷慨するのでしょうね。
今度は京都で柔道整復師が逮捕されました。交通事故の保険金詐欺にかかわった容疑です。ちょっと予言?しておくならこの先同じような事件が雪崩をうったように報道されるでしょう。なぜなら世間が柔道整復師を、「そのようなもの」と認識し始めたからです。たとえは変ですが、髪の毛が伸びてきて散髪に行きたいな、と思った瞬間にやたら理髪店の看板が目に付くようになるのと同じ理屈で「よからぬことをする柔道整復師(整骨院)」に関する報道は急激に増え続けることでしょう。
柔道整復師の健康保険取り扱いも早晩消滅するでしょう。それが来年なのか三年先なのかは別にして。
柔道整復師の業務のうち、骨折、脱臼、打撲、ねん挫、挫傷の幹部への施術に健康保険が適用されるに至った経緯は、整形外科の医師が少なかった時代にその補完機能を期待されてのことでした。要は医師の代わりに柔道整復師がこれらのけがの治療にあたっていたわけで、それゆえの健康保険の取り扱いであったのです。
現在、街の至る所に整形外科のクリニックがあります。骨折や脱臼の治療に人手が足りない、ということはなさそうです。では、整骨院では何が行われているか。以前このブログで「柔道整復師は手技療法の専門家としての道を模索するべきだ。」という意のことを書きました。自分もそうありたいと精進しているつもりですし、開業の相談を受けてもそのようにお答えしています。ところが、現実はどうか。
以前、鍼灸の専門誌が柔道整復師の特集を組んだことがあります。そのとき、開業柔道整復師へのインタビューで「なぜ柔道整復師になりたいと思ったか?」という問いに対し、「電気を当ててチョコチョコ揉むだけでそこそこ儲かると思ったから。」と答えているのを読んでぶったまげた記憶があります。でも、現実はそんなもんでしょう。患者さんも慰安娯楽のためのリラクゼーションくらいにしか思っていない方が多いのではないでしょうか。
チェーン展開しているような大きな整骨院では「やまびこ掛け声」というのが推奨されているそうです。居酒屋チェーンなんかへ行くと表の方で店員さんが「いらっしゃいませ!」とお客に声をかける。それに呼応して店の奥でも「いらっしゃいませ!」と声をかけるあれです。大手のコンサル会社が言い出したようで、その会社のコンサルタントの治療院経営の本にもちゃんとこの「やまびこ掛け声」が載っています。莫迦にされているのが分からないほど、きょう日の柔道整復師はお利口さんなのでしょうか。
「新しい先生が入りました」という張り紙を貼っている整骨院を見たこともあります。「新人入店」って、それはフーゾクの広告やないの。
どんどん柔道整復という仕事が軽くなってゆき、人の体を預かる責任と誇りはどこかへ行ってしまう。この流れはでも、もう止まることはないでしょう。