忍者ブログ
大阪市西淀川区にあるクラニオセイクラル専門の整骨院院長のきまぐれ日記

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

THE DAY AFTERその2

昨日の続きです。

それでは何が悪くてそんなになってしまったのか?柔道整復師の数が増えて質が低下した、とはよく言われます。学校がたくさん増えたことを「乱立」という人がいます。柔道整復師の質の低下を嘆いて見せるのも同じ人です。では、かつてはどうだったか?学校がわずかしかなかったころは入学にコネクションが必要なところがほとんどでした。誰か、学校の関係者の紹介がなければ入学できない。入学金のほかに寄付金が必要。それだけではなく紹介してくれた先生の整骨院で朝から晩まで働かなければならない。そうして給料は?みなさん、いくらくらいと思います?整骨院の弟子になってコマネズミみたいに仕事をして一カ月一万円。七千いくらというところもありました。日給ではなく月給ですよ。それは経営者はもうかるでしょう。実質無給の労働力がいっぱい来るんですもん。整骨院の経営者にとっては笑いのとまらない日々だったわけです。学校が増えてそういうおいしいところがだんだん減ってゆけば面白くないでしょう。「学校の乱立で柔道整復師の質が低下した」ということをいう人は多分かつて専門学校の入学のパイプ、もっとはっきり言えば裏口入学のコネクションを持っていて、そういうシステムでおいしい思いをしていた人なのだと思って間違いはないでしょう。
 
そしたら学校がたくさんできる前の柔道整復師のレベルは高かったか、というとそんなことないです。教えていて思いますけれど今の学生の方が絶対に私たちのころより優秀です。正直の話、基礎科目なんか今の学生が習っているレベルについていけませんもん。臨床系でも内科やら外科やらリハビリテーション医学やら私たちのころにはなかった科目がいっぱいあって私は羨望を禁じ得ないのですがひょっとすれば今、私が専門学校に入っていたら授業についていけてないかもしれません。私が専門学校に通っていた頃ももちろんできる学生もできない学生もいましたし、今もできる学生とそうではない学生がいますけれど平均的なレベルとしては今の学生の方が間違いなく優秀です。当然卒業してからの柔道整復師としてのレベルも少なくとも知識においてはベテランの先生に勝るとも劣らないと思います。
 
それならば柔道整復師が低迷している原因は何か?というと私は「柔道整復師がケガの手当てにこだわり過ぎているからだ」と思うんですよ。外傷にこだわって何が悪い?と思われます?もちろん柔道整復はケガの手当てに由来する治療体系ということになっていますのでそれはそれで構いません。ただし、柔道整復師はケガの手当てしかできない資格だ、と思っておられるのでしたらそれは正しくありません。ここは重要なところだからよく聞いといてくださいね。
 
世間では柔道整復師の業務範囲は骨折・脱臼・打撲・捻挫であると思っています。柔道整復師の先生方も学生のみなさんもそう思っておられるかもしれません。なんでか、といえば私たちが使っている「柔道整復理論」の教科書にそう書いてあるからです。世間には柔道整復師が嫌いな人というのはたくさんいて、そういう人たちが柔道整復師を非難するときの根拠にも必ずこの「柔道整復師の業務範囲は骨折・脱臼・打撲・捻挫」というフレーズが出てきます。代表格の一人、某大学整形外科のH教授のホームページにはこんなことが書いてあります。
* 柔道整復師と接骨院とは
今、街角で、いたるところでどんどん新しい接骨院や整骨院、鍼灸整骨院などが開業しているのを知っておられるでしょう。整形外科医の診療所などどこかに隠れてしまうくらいです。さて、もしあなたが肩こりや腰痛やほかの身体の痛みの問題で患者さんで、接骨院や整骨院で施術をうけておられるのなら、あなたが体をゆだねている接骨院の方々は柔道整復師という資格の職種であり、医師ではないことは知っておられますか。柔道整復師は専門学校の3年間の教育で資格を得られる職業であり、高卒3年間で施術所を開業でき、たとえば21才の若さでもお医者さんのようにあなたの体を診察し、施療することができることも知っておられますか。
あなたがもし自分の体の調子が悪くて心配だ、今の症状が悪い病気によるものではないだろうかと本当に心配しておられるのなら、もし今、接骨院の施術で一時的にせよ気持ちよくなっているとしても、すぐに病院に行って診察と診断を受けて下さい。医師には正しい診断と正しい治療を施す責任があります。しかし柔道整復師は法律的にはうちみ、ねんざ、脱臼、骨折などの応急処置を行う職業で、責任を伴う診断はできないのだということを知っておられましたか。
 
このあと医師でもない者に健康保険を使わせるとは何事か、という話が続くんですけれど最後のところに柔道整復師は「法律的には」「うちみ、ねんざ、脱臼、骨折などの応急処置を行う職業」と書いてあるんですけれど柔道整復師法にはそんなことはどこにも載っていません。ほかの法律にだって多分(というか、絶対に)そんなことは載っていないはずです。同じ間違いはウイキペディアでもやっていて、さらにこの間違った記述をもとに朝日放送の「ムーブ」という番組は柔道整復師批判のキャンペーンを張ったりしました。奈良の事件があったときには毎日新聞の「なるほドリ」というコラムにも同様の記述がありました。多分ウイキペデュアを見ただけで記事を書き番組を作っているわけでマスコミはちゃんと取材しない、というのはほんとのことだなと思いました。

続きます。
 

PR

THE DAY AFTER(講演草稿です)

昨日アムス柔道整復師養成学院校友会でしてきた講演草稿です。これから数回に分けてアップしていこうかと思います。内容については過去にこのブログに書いたこととかなり重複します。

コンニチハ。金谷です。よろしくお願いします。以前講義をさせていただいた先生もおられますし顔だけ知ってるぞ、という在校生の方もおられると思います。ちょうど20年前の平成2年に柔道整復師の免許をとりまして大阪市内に開業しました。10年ちょっと前から専門学校で教えはじめまして、当初は整骨院の業務の合間を縫って講義に来ていたんですけれど、いつの間にか教える方が主になってしまってアムスと、もう一軒の学校と掛け持ちで講師をしております。臨床のほうは週に一回自宅で患者さんをみているのと、あと、広島の開業医の先生のところでも月に一回ですけれど治療を行っています。主にやっているのがクラニオセイクラル、頭蓋骨の矯正で保険を使わずに実費でやっています。柔道整復師になる前は学習塾や予備校で教えていたんで授業するのは慣れっこなんですけれど講演、というのは生まれて初めてなんで正直のところドキドキしています。よろしくお願いします。
 
私が教員になったころから柔道整復師が増え始めました。就業している柔道整復師の数は平成10年の29087人から平成20年の43946人、50パーセント以上の増加です。平成22年の現在は―年に5000人ずつ増加していますから―もっと増えているでしょう。整骨院の数も同じくらいの割合で増えていて平成10年の23114件から約51パーセント増えて34839件。これも2年後の現在はもっと増えているでしょう。今あげましたのは厚生労働省の数字なんですけれど、そんなものをわざわざあげなくても柔道整復師もここにこんなにたくさんおられますし接骨院もどこにでもありますよね。ウチの町内でも私が開業したころは先輩のところが2件、ウチが3件目でした。それがこの数年で現在8件になっています。飽和状態といわれて久しい歯科医院が町内にやっぱり8件ですから確かに多いですよね。
 
接骨院が増えてどうなるか、というかどうなっているかといいますとまず一軒当たりの患者数が減ります。
以前は開業して半年くらいすれば患者さんも徐々に増えてきて食べるに困るようなことはなかったのですが最近では開業して一年たっても患者数ひとけた、というところも出てき始めているようです。経営がしんどくなると悪いことをするやつも当然出てくるわけで奈良の大学の野球部の監督が、自分の経営する整骨院で不正を行っていたとか、大阪の請求団体の幹部が21億円でしたっけ、すごい額の不正を行って逮捕されたりといったニュースも相次ぎました。
あと情けないのが呼び込み。大阪市内のとある商店街を歩いていてびっくりしたんですけれど白衣を着た若者が呼び込みをやってるんですよ。「マッサージいかがっすか」みたいなかんじで。あんまり驚いたんでブログにそのことを書いたら「うちの近所でもやってる」て言うコメントがきまして2度びっくり。別の商店街では道行く買い物客にすがりついて「お願いします」とか言ってるところまであるらしいです。
 
大半の整骨院がしんどい中必死でまじめに頑張っていてもこういうところが出てくると業界全体のイメージが良くないですよね。それこそ水の中にインクを一滴落とせば水全体がインク色になってしまう、みたいなことになってしまいます。ご存知の方も多いでしょうけれど今回の療養費の支給基準の見直し、というのはそういう世間の気分というものを如実に表しています。たとえばレセプトに患者さんの来院日を記入せよ、なんてのは柔道整復師がズルをしないように、ということですよね。今までは性善説、といいますか柔道整復師と保険者の間の信頼関係にもとづいた保険請求がされていたと思うんですよ。それが今回は「目を離せばズルをする」ということを前提に支給基準が定められることになってしまいました。一部の不届きものがズルしたために業界と保険者との信頼関係が壊れてしまった、ということです。それだけではなくて世間の柔道整復師をみる目も随分と変わってきていますよ。軽く見られている。家内の身内が同業なんですけれど、お母さんが友達に言われるんですって。「私の通っている整骨院は月に三日しか通っていないのに役所から送ってくる医療費のお知らせをみると二十日も通ってることになってる。あんたのところ(家内の実家の整骨院)でもそんな不正やってんの?」柔道整復師が「そんなもの」と見られてしまえばそれこそマッサージの器械とあんまり変わらないような見方しかされなくなる。整骨院に来院する理由が「保険が使えて安上がりだから」だけならそんなものに存在価値なんてありませんよ。
たとえば例の事業仕分けで漢方薬の保険適応が廃止になりかけたときに業界だけでなく患者さんから反対の声が上がりました。柔道整復師の療養費の保険扱いがなくなる、と聞いてみんなが反対してくれるかというと、正直どうかな、とおもいます。保険の取り扱いは言ってみれば患者さんの必要に応じたものであって、つまり患者さんからの要望があって行われているわけで保険の取り扱いが厳しくなってきているということは患者さんから柔道整復は必要とされなくなりつつある、といえるのかもしれません。
 
次回に続きます。

こんなの見つけました

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/jyuudou/index.html

厚生労働省のホームページです。柔道整復師の療養費の支給対象(保険取り扱いの対象になる傷病)以外は全額自己負担、と明記されています。

ようは歯科医院と同じで保険の使える者と実費扱いのものがある、というごく当たり前の話です。

骨折、脱臼、打撲、捻挫以外の傷病も施術の対象としていいよ(肩こりや腰痛など)、と厚生労働省が自ら言っているのですからこの問題は決着済み、ということでいいですかね。

保険の使える傷病=柔道整復師の「業務範囲」=骨折、脱臼、打撲、捻挫とアタマから思い込んでる業界の人々は(去年学会で発表したときに座長からこの手の質問が出て少しへこみました)まだまだいてるんでしょうけれど。

保険が使えなければ柔道整復なんてどうでもいい、なんて言わないでね。
 

まだまだ無名

長男が大学の進学資料をもらってきました。「徹底研究・学部・学科ガイド」というその本に「柔道整復師」の説明が載っていました。

「ほねつぎ・接骨師・整骨師として広く知られ打撲、捻挫、挫傷、骨折、脱臼などの回復のための処置を行う。ただし、医師の同意を得ない限り外科手術や投薬の医療行為はできない。」

おいおい。医師の同意が必要なのは骨折、脱臼の幹部への施術。外科手術や投薬はたとえ医師の同意があっても柔道整復師は行うことはできませんや。

こんな間違いを書いたのはどこの予備校だ?と思って発行者を見てみると、これがなんと河合塾。系列校に柔道整復師養成の専門学校があるところでもこんなもんです。

まだまだ柔道整復師は世に知られていないし活躍の場は探せばいくらでも出てくるでしょう。

明日国家試験を受ける諸君、ギョーカイの未来はきみの双肩にかかっているゾ。試験会場では最後の一秒まで粘って、くれぐれも昼休みに答え合わせはしないようにね。

国家試験をのぞいてみれば・・・

いよいよ来週の日曜日には柔道整復師の国家試験です。それに先だってあん摩マッサージ指圧師とはり師・きゅう師の国家試験が行われました。

専門科目になると陰陽五行などがあって全くのお手上げなのですが基礎科目では解答可能なものもあります。とはいえ解剖学や生理学は私たちが習っていたころとはレベルが違いすぎて感心することしきりです。

たぶん全問解答できるのが「関係法規」という科目です。柔道整復師法(これを私は教えています)と「あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律」(とっても長い名前の法律ですね)とでは共通する項目が多いからです。

昔はもっと長い名称で「あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師および柔道整復師等に関する法律」といって柔道整復師も同じ法律で規制されていたことがあります。だから柔道整復師が単独の法律を持つようになっても条文などが共通するところも多い、ということです。

今年のあん摩マッサージ指圧師国家試験の問題に、こんなのがありました。

    (前略)あん摩マッサージ指圧師が医師の同意によって行えるのはどれか
1.瀉血  2.脱臼部位への施術  3.漢方薬の投与  4.診療放射線の照射

1.は患部を切開してうっ血を外に出すこと、これは医師にしかできません。3.の投薬も同様。診療放射線の照射は医師、歯科医師、診療放射線技師でないと行うことができません。

ということは?そう、正解は2.の脱臼部位への施術です。医師の同意があればあん摩マッサージ指圧師は骨折の患部にも施術を行うことができます。

柔道整復師が骨折や脱臼の患部に施術を行うときも同様に医師の同意が必要なのは以前から書いているとおりです。医師が診察する前に応急手当として患部を整復することはできます。柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師とが骨折、脱臼の患部に対して行うことのできる施術の違いはこの「応急手当」の有無だけなのです。

「骨の接げる柔道整復師」なんてのを本当に目指していていいの?
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フリーエリア
最新CM
[02/26 かなややすひろ]
[02/26 岡ヤン]
[02/25 かなややすひろ]
[02/24 さて]
[02/24 岡ヤン]
最新TB
プロフィール
HN:
かなや やすひろ
HP:
性別:
男性
職業:
柔道整復師
自己紹介:
大阪市在住。医療系専門学校で教えるかたわら自宅兼のちっこい治療院でクラニオセイクラルのセッションを行う。好きなこと:講義すること、治療すること、飲むこと。嫌いなこと:お医者さんごっこ
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
カウンター
Designed by PLP
忍者ブログ
[PR]