忍者ブログ
大阪市西淀川区にあるクラニオセイクラル専門の整骨院院長のきまぐれ日記

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Judo Seihuku Therapy Theory Book

何の本かと言えば、柔道整復関連の専門学校で使用されている「柔道整復理論」の英訳版です。

どうもWHOで「ジュードーセラピー」として登録されたときに(あるいは登録されるために)わざわざ制作されたもののようです。

日本語版の原著と違うところは製本がべらぼうに豪華なこと。何せ真っ赤なクロス装丁です。

もう一つの違いは、英訳されているのが(つまり外国に向けてアピールしているのが)原著の「総論」の部分のみであるということです。

総論にどんなことが書いてあるかと言うと骨折とか脱臼の定義であるとか治療法のアウトラインであるとかと柔道整復術の沿革について書かれています。

沿革の部分のほかは整形外科のダイジェストというか要約というか、特に柔道整復独自のものはありません。

そして英訳されなかった「各論」、こちらは全く整形外科の引用だけに終始しています。なんせ「柔道整復理論」の初版は「神中整形外科学」という本のまさにダイジェスト版です。版を重ねるにつれて新しい知見を加えてはいるのですがすべて整形外科学由来。柔道整復独自のものなどありはしません。

もし、現在使用されてる「柔道整復理論」をそのまま全部英訳したならば(沿革の部分を除いて)整形外科のテキストそのものになってしまいます。

それでは「代替医療」「民族医療」としてWHOに登録されることはかなわないでしょう。

そもそもWHOに登録というのが政治的なことであるのだから沿革の部分だけでも(しつこいですか)「独自性」らしいことが書いてあればそれでオッケーなのかもしれませんが。

けがの治療から発展した柔道整復、というスタンスはそれで構わないでしょう。ただし、医療の充実した現在けがの治療を行う人員は医師だけで十二分に足ります。

柔道整復師が独自の代替(私は補完、のほうがいいと思うのですが)医療として認められるためには医療でカバーできない部分での有効性をアピールしなければしんどいと思うのですが。

WHOに登録されたジュードーセラピーなんてことで鼻の下を長くしていても、結局のところ柔道整復は世界的には全く認識されていません。当の柔道整復が適当に帳尻を合わせておけばいいや、くらいの認識なのだから仕方のないことなんでしょうけれど。
PR

発表してきました

22,23日「日本柔道整復接骨医学会」学術大会へ行ってきました。

23日にはかねてから報告の通り、「柔道整復師の業務範囲についての考察」を発表してきました。わざわざ聴きにきてくださった先生方、学生諸士、本当にありがとうございました。発表していて本当に心強かったです。

普段の講義と違い時間が限られていますし、アドリブで話すとワタシの場合暴走の危険性がありますので今回は草稿をまとめていきました。こんな感じです。

柔道整復師の業務範囲に関する考察   
(スライド)
柔道整復師の業務範囲は骨折、脱臼、捻挫、挫傷、打撲(急性の外傷)であると一般に言われています。これは柔道整復師がこれらの傷病に対してのみ施術することを法律で許されている、反対にいえばこれら以外の傷病に施術することを禁じられている、という風な解釈であると考えられます。現に、柔道整復師に批判的な大学教授のホームページからウイキペデュア、さらにはマスコミの報道に至るまで、そのような文言を目にする機会も多いかもしれません。
ところが一方で、法律で決まっているはずの「柔道整復師の業務範囲」について柔道整復師法をはじめ関係法規にはいっさい記載されていません。そこで、この「業務範囲」の法的根拠について判例、通達等をもとに考察してみました。
(スライド)
まず、業務範囲という言葉について。判例や通達でこの語が「柔道整復師の施術の対象」の意味で使用されている例は私の知る限りでは存在しません。では、どのような文脈でこの語が使われているのか見ていきましょう。
(スライド)
昭和23年の厚生省の通達です。「柔道整復師はレントゲンを使ってはいけない」ということを「業務の範囲を超える」と表現しています。
(スライド)
こちらは骨折や脱臼の応急手当について昭和23年に出された通達です。これを見てみますと今、骨折や脱臼の応急手当の話をしているわけですから「業務の範囲内で」という文言が柔道整復師の取り扱える傷病の意味でつかわれることは文脈上ありえません。
(スライド)
そしてこれを受ける形で「まったくその業務の中に含まれない止血剤や強心剤の注射はもちろん許されない」とあります。
要するに業務範囲を超えるとは、柔道整復師に許されない行為を指します。だから「業務範囲」とは骨折とか脱臼とかあるいは新鮮外傷であるとかの具体的な傷病ではなく、「柔道整復師が業として行うことのできる行為」を指す、ということになります。
(スライド)
それでは「骨折、脱臼、捻挫、挫傷、打撲」というのは柔道整復師の業務にとってどういう位置づけができるのか?について考察したいと思います。
(スライド)
判例や行政の解釈によれば柔道整復師の定義としてこれらの傷病への施術を業とするもの、といわれることが一般的です。これは柔道整復術が柔道の活法、つまりけがの手当てに起源をもつ以上当然のことです。ただし、これら以外の傷病に対して柔道整復師が施術を行うことが法的に禁じられていると考えることは適当ではありません。その根拠が
(スライド)
ここに揚げました昭和41年の厚生省医事課長通知です。「医行為または医業類似行為であるか否かはその目的又は対象の如何によるものではなく、その方法又は作用の如何によるものと解すべきである」、つまり柔道整復師の業務を逸脱しているか否かはどんな傷病に施術をしたかではなく、患者さんに対してどんな行為をしたかによって判断されるということですね。事実、昭和60年に柔道整復師が風邪の患者に施術を行い医師法違反と業務上過失致死に問われた裁判では、医師法違反については無罪判決が出ています。
(スライド)
蛇足になるのですがこの「業務範囲」の問題が時として柔道整復師の間でさえ誤解されることがあるのがこれです。ここでいわれているのはあくまでも「療養費の支給対象となる負傷」、ようは健康保険を適用できる傷病が「急性または亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫」である、ということだけです。その他の傷病に対して柔道整復師が施術を行うことについて禁じている判例や通達は存在しません。
 
このように考えてみると、柔道整復師の業務範囲は「骨折、脱臼、捻挫、挫傷、打撲」であるという定義は業務範囲という語の用法を含め法的な根拠に乏しい、ということになります。柔道整復師の業務は外傷の手当てに限られません。現行法の範囲でいわゆる新鮮外傷以外に施術を行うことにも法律的な問題は存在しません。
ご静聴ありがとうございました。

学会発表について(日時が決まりました)

以前このブログでお知らせいたしました通り11月23日大阪国際交流センターにて行われます「日本柔道整復・接骨医学会」学術大会にて研究発表を行います。

演題は「柔道整復師の業務範囲について(予報)」。予報、というのはお天気の話をするからではなくて「私はこういう研究をしていますよ。」という話を正式なペーパーにまとめる前に発表することを言います。

サブタイトルは「柔道整復師の業務範囲は骨折・脱臼・打撲・捻挫は本当か」です。まあ、言ってみればこれは私がずーっと考え続けていたテーマで、「柔道整復師とは一体何やねん」と言ったことについての話です。

日時は11月23日10時50分から11時40分までのうちの持ち時間10分です。会場は大阪市国際交流センター3階銀杏(G会場)です。

当日参加される方、よろしければ覗いてみてください。

整骨院でカイロプラクティックを行うのは違法か?(ヒポクラテス法とガンステッド・テクニック)

柔道整復師が施術所内でカイロプラクティックや整体などの施術を行うことは違法である、と掲示板の類に書き込みされているのを見ることがあります。

整骨院を開設する際には都道府県知事に開設届を出すのですが、その際の注意事項に「施術所(整骨院のことです)内で他の医療類似行為を行うことはできません(整体、カイロなど)」と明記している都道府県があります。

そういう注意事項を出していないところでも、「整骨院内でカイロプラクティックを行っていいですか?」と尋ねれば間違いなく「NO」の返事が返ってくるでしょう。

それは私の整骨院であっても同じことです。

「え?でもクラニオセイクラル(以前書きましたように、これはオステオパシー由来の手技療法です。オステオパシーとカイロプラクティックは乱暴な言い方をすれば親戚筋に当たります)専門の整骨院って自己紹介してるやないの。それっていいの?」と言う声が聞こえてきそうですね。別に問題はありません。ではそれはなぜか?

行政が整骨院で他の医業類似行為をしてはならん、と言う根拠は柔道整復師法施行規則第18条によります。
施術所の構造設備の基準を定めているのですがその中に「専用の施術室」と言う文言があります。これはどういうことかと言うと「整骨院の中では柔道整復以外、行ってはならない」と言う意味です。

ところが柔道整復の業務の定義は「柔道整復師が適法に行う行為」としか言いようがありません。医師にしか許されていない外科手術や投薬、診断行為など、あるいは鍼灸師にしか許されていない鍼、灸の施術などを除けばほとんどなんでもありなのです。(マッサージについては微妙。これについては以前の記事をご覧ください)

そして、骨折や脱臼の整復法については医師とほぼ同様の手技を行います。要は柔道整復とは医業の中の限定された領域を指すものと考えるのが適当かと思います。それが証拠に医師は柔道整復師の資格を持たなくても柔道整復を業とできる、と柔道整復師法にあります。

さて、以前の復習です。カイロプラクティックや整体などの業務を特に資格なしでも行うことができる根拠は昭和35年に出された「医業類似行為は人の健康に有害の虞がなければ禁止処罰の対象にならない。」と言う最高裁判決でした。それなら誰にでも許されている手技療法は柔道整復師の業務に当然含まれることになります。

さらに、無資格のカイロプラクターが行うことのできない手技や、禁忌対象疾患についてもこれを柔道整復師にあてはめる法的な根拠がありません。

整骨院が「カイロプラクティックを行ってもよいか?」と言えばNOでした。ただし、カイロプラクティックのテクニックを柔道整復に取り入れることには何の問題もありません。(整骨院の看板にカイロプラクティックや整体を併記することは柔道整復師法24条―広告の制限にバッティングしますので不可です) にほんブログ村 健康ブログへ
にほんブログ村

柔道整復師の業務に「マッサージ」は含まれるか

現在、柔道整復師の学校で「関係法規」と言う科目を教えています。今週が第一回目の講義で、学生たちに表題のような質問をしてみました。

全部で六クラスを担当しているのですが指名して答えてもらったところ「含まれる」と「含まれない」は大体半分づつくらいでした。

マッサージ師さんは正確には「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格です。三年間専門の学校に通って厚生労働大臣の行う試験に合格しなければ取得できません。そして業務独占、といって「あん摩マッサージ指圧師」の資格がなければマッサージ(もちろんあん摩も指圧も)を業として行うことはできません。

例外として認められているのが理学療法士さん。病院や診療所で医師の指示があればリハビリテーションの一環としてマッサージを行うことができます。

さて、柔道整復師はどうか?昭和32年の厚生省からの通達に「柔道整復師が柔道整復行為を行うに際し、社会通念上、当然に柔道整復行為に付随するとみなされる程度のあん摩(指圧およびマッサージを含む)行為をなすことは差し支えない」「柔道整復師が医師または患者の要請等により単にあん摩(指圧およびマッサージを含む)のみの治療を必要とする患者に対し、その行為のみを行うことは(中略)規定に違反する」というのがあります。

だから柔道整復業務(これは必ずしも骨折・脱臼・打撲・捻挫に対する処置だけではない)に付随する程度のあん摩マッサージ指圧行為は差し支えないけれど、あん摩マッサージ指圧のみを行うのは法律違反ですよ、と言うことです。あん摩マッサージ指圧師の先生方に対しては無礼な物言いになるかもしれませんが、だから冒頭の問いに対する答えはイエスでもノーでも正解のように思います。

柔道整復師の業務にマッサージが含まれるか否か、と言う問いに対する答えにはその柔道整復師の見識が顕われるのでしょう。

誤解のないように言っておきますが、巷間言われるような「クイックマッサージまがい(ちょこちょこと適当に揉むだけしかできない、しない)」の整骨院で行われているような手技はマッサージでもなんでもありません。マッサージでもあん摩でも指圧でもずっと奥の深いものであることは充分に承知しているつもりです。

法律での定義がないために「柔道整復とは柔道整復師が行う行為」としか言いようのない現在、「柔道整復とは何か?」を考えることも私たちの重要な仕事なのだと思います。






にほんブログ村 健康ブログへ
にほんブログ村
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フリーエリア
最新CM
[02/26 かなややすひろ]
[02/26 岡ヤン]
[02/25 かなややすひろ]
[02/24 さて]
[02/24 岡ヤン]
最新TB
プロフィール
HN:
かなや やすひろ
HP:
性別:
男性
職業:
柔道整復師
自己紹介:
大阪市在住。医療系専門学校で教えるかたわら自宅兼のちっこい治療院でクラニオセイクラルのセッションを行う。好きなこと:講義すること、治療すること、飲むこと。嫌いなこと:お医者さんごっこ
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
カウンター
Designed by PLP
忍者ブログ
[PR]