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大阪市西淀川区にあるクラニオセイクラル専門の整骨院院長のきまぐれ日記

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「柔道整復師の業務範囲」にこだわるのはなんでか

いよいよ新学期です。朝九時過ぎまで寝ていて十時からアニマックスでケロロ軍曹を見て、という怠惰な毎日はそろそろおしまいです。週末からはイライラの塊になって全力疾走の日々が始まります。

その前に、短期集中連載?していた「柔道整復師の業務範囲」について一応のまとめを行わなければなりません。

この問題(問題とも思わない同業の方が多いでしょうが)について書きたいと思った理由は二つあります。
ひとつは柔道整復師は「骨折、脱臼、打撲、捻挫」に対してしか施術が許されない、と言う考えは明らかに正しくないにもかかわらず、柔道整復理論、関係法規の教科書に「業務範囲」という誤った用語で規定されていることに危機感を持ったこと。前回書きましたようにこの「業務範囲」にこだわることは最終的に柔道整復師の独立開業権を奪い去ります。柔道整復師の学校で次の世代を教えている身としてはこれは何としても阻止しなければなりません。

もうひとつ、現在の柔道整復学の方向性について私は大きな不満を持っています。一言でいえば外傷の保存療法の研究が柔道整復学なのか?ということです。普通、整形外科学の一部である、と言う言い方がされますが(臨床整形外科学会には全然相手にされていませんが)これは外傷学、という別の学問です。その中の保存療法に特化してみても医学的な検査の許されない柔道整復師にできることは限られています。

腰の捻挫に対する施術法はきっと慢性的な腰痛にも応用は可能でしょう、否、現に可能ですし甚だ有効です。
一般的な物理療法の奏功しないような痛みに対しても柔道整復術が有効なことを柔道整復師ならみんな少なからず経験しているはずです。そういった症例に対する施術は今まで柔道整復術として光が当たることは少なかったように思います。なぜか。業務にたいする誤った観念があったためにそれらの症例は柔道整復の業務としてとらえられなかったからです。柔道整復師が慢性の腰痛の患者さんにカイロプラクティックの手技を行ったら軽快した、これを柔道整復術の症例とすることに対し躊躇があったからです。

話は腰痛に限りません。こじれたむち打ち損傷が治った例、どこへ行っても治らなかった膝の痛みを軽快させた例、一般の医療で対処できなかった症状に対応できて初めて代替・補完医療の面目躍如ではありませんか。

「柔道整復師の業務範囲は骨折・脱臼・打撲・捻挫」という何ら法的な根拠のない(これが法的に根拠を持てば逆に柔道整復師はおしまい、です)迷信を捨てることが柔道整復学の最初の一歩になると思っています。

最後に。この数日で書いたことについてはいずれきちんとしたペーパーに起こしてしかるべき形で発表します。
宣戦布告です。


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伝聞・推定(虚に吠える人々)

おんなじ話の繰り返しで恐縮なのですが「柔道整復師の業務範囲は骨折・脱臼・打撲・捻挫」であると法律でさだめられているという話は徹頭徹尾根拠がありません。

まず、「業務範囲」という言葉が施術対象をさすことはありません。たとえば「静脈注射が看護師さんの業務に含まれる」ことを指すときに「業務範囲」という言葉を使います。医業の中には医師でないと行うことのできない絶対的医業と、他の医療職(コメディカルといいます)でも行うことのできる相対的医業があります。看護師さんの業務範囲を考察するときはこの絶対的医業にバッティングするかどうかが問題となります。要は看護師さんの業務範囲というのは「法律上看護師さんに許された行為」を指します。

では、柔道整復師の施術の対象が法律で定められているのか、と言えば答えはノーです。柔道整復師法にはそんな規定はありません。

もちろん柔道整復は柔道の際のけがの手当てに起源をもちますので「骨折・脱臼・打撲・捻挫」が施術の対象であることは当然でしょう。ただし、判例を見る限りにおいて柔道整復師の業務は、といえば「骨折・脱臼・打撲・捻挫等」に施術を行うこととなっています。この「等」って何よ?といえばその他の傷病に対しても施術を行いうるということに他なりません。

なぜか?柔道整復師には診断権がないからです。あるケガを「これは捻挫です」ということも「これは捻挫ではない」ということも診断行為に当たりますので医師法に違反してしまいます。

療養費の支給対象は確かに「骨折・脱臼・打撲・捻挫」ですがこの傷病名も法律的には意味がない。だから「急性、外傷性のものに限る」という注釈をわざわざ入れる必要があったわけです。

もし、柔道整復師の施術の対象を「骨折・脱臼・打撲・捻挫」に限るとするならば
   1、柔道整復師がこれらの傷病について診断権を与えられる
   2、柔道整復師が施術を行う前に医師の診断、同意を必要とする
(現行法でも骨折、脱臼の患部に施術をする際には医師の同意が必要ですが施術の対象をこの四傷病に限るというのでしたら打撲や捻挫にも理論上医師の診断が必要となります)
のどちらかの要件が必要となります。1、は100パーセント実現不可能でしょう。2、の要件を受け入れるならば柔道整復師の開業権は事実上崩壊します。たぶん、臨床整形外科学会はこれを狙っているように思います。

どうです?「柔道整復師の業務範囲は云々」と無邪気に言っていることの危険性がお分かりいただけました?

そうして、柔道整復医を批判する方々の論拠がこの「業務範囲」であることを考えてみてください。医学部の整形外科教授からテレビの報道、ウイキペデュアに至るまでこの根拠のない「業務範囲」に基づいて柔道整復師に対する批判を行っています。この教授も言うとおり「柔道整復師は医師ではない」。それならほかの職種を批判するときにはそれなりの根拠が必要でしょう。柔道整復師法も読んでないような御仁ににうちの業界をあれこれ言ってほしくはないものです。それこそ「キンダイのイガクブはヘンサチが低い。」と私がいうようなものです。(もちろんそんなことを私は思っていませんし一生かけて受験勉強しても合格できないと思いますが)


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パクられた柔道整復師

新聞を見ているとまたまた大阪で整骨院の不正請求です。二人の柔道整復師がお互いの保険証を使うなどして(つまりAはBの、BはAの患者さんにそれぞれ成り済まして)保険での不正請求を行っていた由です。一人の柔道整復師は患者25人分で362万円、もう一人は患者7人分で397万円を不正に請求、とありますので本人同士だけではなくお互いの家族その他の保険証も使って不正を働いていたのでしょう。

こういう手口には「柔整互助会」、と言う名前が付いています。同業者同士でお互いの保険証を使い合うことを互助会になぞらえたものですがそういうネーミングが存在すること自体、この手の不正の多さを物語っています。

もちろんただで済むわけはなく、二人とも5年間の受領委任(保険取り扱い)停止処分です。官報でばっちりと氏名まで公示されます。かっちょいい話ですよねえ。

ところで今回の不正事件についての官報ですが、一人の柔道整復師の受領委任取り消しの理由はこの「互助会」だけではありませんでした。

「療養費の支給対象外の症状に対して行った施術を支給要件となる負傷名で施術録に不実記載し療養費を不正に請求していた。」

こういう理由が記されています。要は保険の対象とならない傷病に対して施術をしたにもかかわらず、これを療養費の支給対象の「骨折、脱臼、打撲、捻挫」のどれかと偽って保険請求をした、と言うことです。

もう一度同じ話の繰り返しになりますが柔道整復師の療養費の支給対象が「骨折、脱臼、打撲、捻挫」であることと柔道整復師の施術の対象疾患とは別問題です。もし、巷間言われているように柔道整復師が外傷性の傷病にしか施術ができない、と法で定められているものであれば保険取り扱いの停止だけでは済まなかったはずで医師法違反で逮捕されているはずです。細かい話は省きますが柔道整復師が業務外の行為を行った場合は(柔道整復師法16条違反)柔道整復師法ではなく医師法違反で罰せられることになっています。

で、実験です。パソコンの検索サイトで「柔道整復師  医師法違反」または「整骨院 医師法違反」を検索してみてください。実際の事件として柔道整復師が医師法違反で逮捕されたニュースと言うのは数年前、東京で柔道整復師の男が超音波(エコー)を使って診断をしたり外科手術(瀉血)を行って逮捕された一件くらいしか見当たりません。

施術の対象が外傷性であるか否かが問題になるのはあくまでも療養費の請求に関してです。もちろん不正請求が悪質であるならば逮捕、起訴されることもあるでしょうがそれはあくまでも詐欺罪です。

「柔道整復師 医師法違反」を検索してみると「柔道整復師が外傷以外に施術すると医師法違反」であるという書き込みはたくさん見られますが医師法と医療法(場合によっては薬事法)の区別もついていないものも見受けられます。 にほんブログ村 健康ブログへ
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パクられた治療師、および自称治療師(あのオジサン覚えてますか)

法律的には診断権がない、と言ういささか情けない理由ではありますが柔道整復師が内科疾患に対して施術を行っても無資格医業にはならない、と言う話を前回書きました。このあたりについてもう少しケーススタディを交えて説明いたしましょう。

去年、千葉で「子宮筋腫を手で揉んで治す」と称していた整体師が逮捕されました。かなり強烈なインパクトのあるオジサンでしたので(逮捕の瞬間がテレビで流れていました)ご記憶の方も多いでしょう。

整体師、という国家資格はありませんからこの男は法的には全くの素人です。医師の免許がないにもかかわらず患者さんに症状を聞いたり腹部を揉んだり、といった医療行為を行ったわけですから医師法違反(無資格医業)になります。

新聞報道では、揉まれたところが青あざになったり痛みが出たりした人もいた由が載っておりましたが、もしこの整体師が本当に子宮筋腫を治すことができても、やっぱり医師法には違反しています。無資格の整体師が施術を許されているのはあくまでも人の健康に有害の虞のない場合に限られているからです。

さて、人の弱みに付け込んで治せもしない疾病を治すと称して高額の治療費を請求する輩はいつの世にも絶えません。数年前のこと、東京で「赤外線を照射するとがんが治る」と称してがんの患者さんに施術を行っていた男が逮捕されました。この男は「病院の薬は服用するな」とか「調子が悪くなったのは好転反応だから心配ない」「あと3回治療すれば治る」などと言い、治療院に通わせていたそうです。

その治療に使っていた赤外線治療器は肩の凝りをほぐす効果こそあれ、がんに効くなどとは真っ赤なウソでした。被害にあった方の中にはなくなった方もおられるようで、こんな輩が逮捕されるのは当然のことでしょう。

では、この男が逮捕された時の容疑は?

医師法違反? いいえ、違います。詐欺罪。

人命が失われたりこちらの方がたちが悪いのになぜ?と思います?なぜかと言えばこの男、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持っていたのです。(あん摩マッサージ指圧師が電気、光線を使用することは認められています。)

昨日書きました風邪の患者さんに誤った治療法を指示して死なせてしまった柔道整復師と同じで施術したこと自体には違法性は認めにくいのです。だから、当局も医師法違反での立件をしなかったのでしょう。

今回は柔道整復師は出てきませんでしたが国家資格のある治療師については法律上、施術を禁じられている疾患はないと考えていいと思います。もちろん判断を誤って不幸な結果となれば責任を問われますし、治せもしないものを「治せる」と言って施術を続ければ詐欺にも問われますが。

それなら柔道整復師やはり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師などが医師法違反に問われることはないのか、と言えばあります。たとえば投薬とかその指示あるいは外科手術を行った場合、医師法違反で罰せられることとなっています。 にほんブログ村 健康ブログへ
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柔道整復師が内科疾患に施術を行ったら?

柔道整復師の施術対象となる疾患が、一般に考えられているような(一般、と言っても柔道整復師を批判する方々と当の柔道整復師だけですけれども)骨折、脱臼、打撲、捻挫だけではないということを書きました。

この四つの傷病については柔道整復師の施術に対する療養費の支給対象である、と言うだけの話です。

もちろん「急性・外傷性」であるならば整形外科で「急性腰痛症(ギックリ腰)」と病名がつくべきものを柔道整復師が「腰部捻挫」として施術を行い、療養費の請求を行うことに何ら問題はないでしょう。なぜなら、柔道整復師には診断権がないため病名をつけることが法律的にできません。急性、外傷性に腰に痛みを生じたものを「捻挫」とみなして施術を行い療養費の請求を行っているだけのことです。

柔道整復師がある傷病を療養費の支給対象であるか否かを判断できるのは、その怪我が「急性・外傷性であるかどうか」と言う点だけなのです。

良くも悪くも柔道整復師には診断権がありませんから、たとえば内科的疾患に施術を行ったとしても医師法違反に問われることはありません。「そんな馬鹿な」と思われます?でも実際にそういう判例があるのです。
ここからは城西大学の中村敏昭先生が書かれた「判例からみた柔道整復と医業類似行為」という論文からの引用を中心に書いていきます。

事件の概要は日ごろから親しい一家の長男が風邪の症状を訴え熱が38度くらいあると聞いた柔道整復師が患者に施術(矯正または愉気と呼ばれる手技)を行い足湯、その他の手当てを行うよう指示、病状が悪化したにもかかわらず医師の診察を受けるように勧めないまま同様の指示を繰り返し患者が死亡した、と言うものです。この柔道整復師は誤った治療方法を繰り返し指示した過失で患者を死亡させたとして医師法17条(無資格医業)と業務上過失致死罪違反で起訴されました。

裁判の結果どうなったか?なんと、医師法違反については無罪となったのです。

「結局、問診と言われる会話は日常の雑談と認めうる程度、態様、触診といわれるものは矯正術の一部でごく自然な患者に特段の苦痛を与えない手段、程度、態様の行為であって危険な行為ではなく、更に注射器、聴診器、体温計による診察でもないとし医行為とはそれ自体の手段、方法、程度、態様及び効果から見て、医師がその医学的知識と技術を用いて行うのでなければ患者の身体、生命に危険を及ぼす虞があると一般的に認められる医療のための行為若しくはその指示を言うと解されるところ、被告柔道整復師の一連の所為が医行為に該当すると認めるに足る証拠はない、として医師法17条違反を否定した。」

ここで問われているのは施術の対象とした傷病名ではなく、どんな行為をしたのか、であることに注目してください。対象となる傷病名に制限が設けられていないのは柔道整復師の施術で何でもかんでも治るからではなくて、単に傷病名の診断権すらない、と言うだけのことにすぎませんが。
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HN:
かなや やすひろ
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性別:
男性
職業:
柔道整復師
自己紹介:
大阪市在住。医療系専門学校で教えるかたわら自宅兼のちっこい治療院でクラニオセイクラルのセッションを行う。好きなこと:講義すること、治療すること、飲むこと。嫌いなこと:お医者さんごっこ
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