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大阪市西淀川区にあるクラニオセイクラル専門の整骨院院長のきまぐれ日記

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お正月を写そう

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

「お正月を写そう」というテレビのコマーシャルはずいぶん昔からありました。ワタシの記憶でははじめはカラーフィルムの広告だったと思います。

そのうち「写るんです」みたいなレンズ付きのフィルムのコマーシャルになり、デジタル写真の現像のコマーシャルになりました。そして今年はフィルム会社の作った健康食品のコマーシャルで「お正月を写そう」ってやってます。

ある産業が滅亡するスピードというのは怖いほどで街中のDPE屋さんというのはデジカメとプリンターの普及とともにあっという間に姿を消してしまいました。

当然、フィルムを作っている会社もそのままではいられないわけで生き残りをかけていろんな他業種に進出することとなります。

元がフイルムのメーカーだってデジタル全盛になってしまえばそれに対応して業態を転換しなければどうしようもないことは誰にだってわかりそうなもんでしょう。それでも「フィルムを売るにはどうするか」ということを考えていたのではいずれ立ちいかなくなることは考えてみれば当然のことではないですか。

ところが不思議なことに「フィルムを売るにはどうするか」というようなことを業界あげて考えている人々がいます。ワタシも籍を置いている柔道整復師です。

「骨折・脱臼を整復できてこそ柔道整復師」ということを社団も学会も何の疑いもなく言い続けています。これには健康保険の対象になるのは外傷だけであることを踏まえて「健康保険が使えてこそ柔道整復師」というホンネが裏に隠れています。

健康保険の対象になる傷病=柔道整復師の業務範囲、といった誤った考えに業界全部がとらわれているわけなのですが(これが法的に根拠をもたない理由については「柔道整復師の業務範囲」というカテゴリーの記事を是非ともお読みください)このままでいけば業界の末路は「フィルムの売り上げ」と同じ運命となるでしょう。

どうにかして柔道整復師の仲間にこのことに気付いてほしいと思って腐心してきたのですがどうもいらぬお節介のようです。業界が骨折脱臼(あるいは健康保険)と心中するつもりならばそれは仕方のないことなのでしょう。

目を他の方向に向ければもっといろんな人に喜んでいただけるのに、ねえ。


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やったもん勝ち(マッサージの定義)

ちょっと以前の新聞記事です。

 三重県鍼灸マッサージ師会の伊藤由尋会長によると、市部などで増えた無資格マッサージ店の影響が一因となっているという。無資格者が業務としてマッサージを行うことは禁止されており、国家資格の有無が国民に分かるような制度の整備が求められている。

 厚生労働省が2年に1度実施している調査によると、2008年末現在、視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師は2万5102人。ピークだった1992年の3万5495人に比べ、1万人以上も減少し、県内でも386人から193人に半減した。

 「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」によると、人の体を押したり、もんだりするマッサージを医師以外が業務として行うには、国家資格を取得しなければならない。

 ところが、国家資格を持たない従業員が都市部の駅前などで急増している「リラクゼーション」や「ボディーケア」などと称する施設で、マッサージに似たような行為を行うケースが目立っている。

 ただ、厚労省医事課では、「マッサージの定義自体は法律で明確に定められていない」としており、無資格者が行っている行為を直ちにマッサージ業として摘発することは難しいという。

 津市で35年前に開院した視覚障害者の男性マッサージ師(65)は「国家資格を得るために盲学校で勉強してきたのに、無資格の人が簡単に開業できるなら資格の意味がなくなる。健常者のように出張マッサージもできず、このままでは視覚障害者が生活できなくなる」と訴える。

 一方、津市でリフレクソロジー(足裏健康法)の店を経営する男性(56)は「我々はあくまで『癒やし』を提供しており、治療としてマッサージをしているわけではない」と説明。客の女性(71)は「音楽やアロマオイルの香りが気持ち良く、憩いの場として来ている」と話した。

2010年12月8日11時26分  読売新聞)

「マッサージの定義自体は法律で明確に定められていない」というのが厚生労働省の見解である、というのはちょっと興味深いですね。当局が巷の無資格リラクゼーションの取り締まりに本腰を入れることができない理由がこれでしょう。(役人の怠慢の方が大きいでしょうが)

おそらく鍼・灸や柔道整復の定義について厚生労働省に問い合わせてみても同じような見解が返ってくるかと思います。鍼灸についてはあん摩マッサージ指圧師と同じ法律で規定されていますし柔道整復師法も元は同じ法律で規定されていました。だから「柔道整復師法」と「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」の条文はほとんど一緒といってもいいでしょう。

そして、ある行為がマッサージであるかどうかを判断するのは「医行為又は医業類似行為(広義とする。)であるか否かはその目的又は対象の如何によるものではなく、その方法又は作用の如何によるものと解すべきである。」となっています。

マッサージ(や柔道整復)の定義が定まっていないにもかかわらず「方法の如何(マッサージで行う手技かどうか)」がマッサージであるか否かの判断基準になる、というすごいことになっているのが我が国の手技療法の現状です。

まさに無法地帯。でも不思議なことに柔道整復師の保険請求に対し「視覚障がい者の職業を奪うものだ」とかみついたマスコミはキャンペーンを張るそぶりも見せません。キャンキャン吠えていたコメンテーター氏は整形外科医の集まりで相変わらず柔道整復師の批判を続けておられます。

結局のところ整形外科医の柔道整復師批判というのは健康保険をめぐる経済闘争にすぎないのね。柔道整復師側がこれに対抗するためには「柔道整復が整形外科に比べどれだけ安上がりか」をアピールすればいいのだけれどそこまで知恵が回ってないみたいです。

話題の「美容柔整」

柔道整復師の養成学校の中に「美容」をメインにうたっておられるところがあります。柔道整復師をキライな人たちはもとより、当のギョーカイ内でも非難ゴウゴウです。でもどうして?別にいいやないの、と言うのが私の考えです。

柔道整復師は法的には外傷の専門家でも何でもありません。このへんについては「柔道整復師の業務範囲」というカテゴリーの記事を是非ともお読みください。

対象とするのがけがの処置であれその他の痛みに対するアプローチであれ美容であれ、柔道整復師が筋骨格に対して施術を行う分には何の法的問題も存在しません。

しかも「美容柔整」を打ち出しておられるのはもともとが美容関係の学校です。彼らは今までどう言われていたか?「何の資格もない人間が人の体をさわっていいのか?」「無資格マッサージ」ということをさんざんに言われていたわけです。

つまり「美容柔整」というのは柔道整復師が美容を扱うのではなく、美容関係者が人の体をさわるための国家資格を得るための学校なのです。問題ないやん。

もし問題があるとすれば「美容」を目的に来院したクライアントに対し不正に保険請求を行う懸念でしょうか。

でもそんなのあるかな。というのが昔、東京の青山ですごい治療院を開業しておられるはり・きゅう師の先生の話を聞いたことがあります。

鍼灸治療で五千円払う人は少ないけどエステでその何倍も支払う人はいっぱいいる。だから私は美容に特化した治療を行ってきた。

まぁそうですよね。整骨院の一部で大流行の(最近は下火かな?)耳つぼダイエットにしても別に保険は使っていないのだろうけどずいぶん稼ぐ方は稼いでおられるようです。なんせ元締めはその稼ぎで学校まで作ったというのですから保険なんかおかしくて使っていられないでしょう。

この「美容柔整」について業界紙のコラムに「次に整骨院では育毛・発毛がはやる」といううわさがあると載っていました。それなら早くはやらせてくれい、と生え際がやばくなりかけてきた私は思ったのでした。

国会答弁書

まずはこれをお読みください。

衆議院議員内山晃君提出柔道整復師の業務に関わる健康保険請求の取り扱いに関する質問に対する答弁書
平成17年2月10日
 
 柔道整復師は、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の規定に基づき柔道整復を業とする者であるが、その業務範囲については、昭和四十五年の柔道整復師法に係る提案理由説明において、「その施術の対象も専ら骨折、脱臼の非観血的徒手整復を含めた打撲、捻挫など新鮮なる負傷に限られている」とされていることを踏まえ、一般的に、骨折、脱臼、打撲、捻挫及び挫傷(以下「骨折等」という。)の施術と解しており、御指摘の腱鞘炎等の施術がその業務範囲に含まれるか否かについては、慎重に判断すべきものであると考えている。(後略)
 
柔道整復師の業務範囲が脱臼・骨折・打撲・捻挫であると主張する人々がその法的根拠に挙げているのがこの答弁です。でもそれ本当?

下線部「昭和四十五年の柔道整復師法に係る提案理由説明」とあります。従来、柔道整復師ははり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師と同じ法律に規定されていたのですが単独で柔道整復師法を制定してほしい、と請願を続けます。単独で法律を定めるにはそれ相当の理由が必要なわけで、そのうちの一つが「施術の対象が骨折・脱臼・打撲・捻挫である」ということだったのです。

念願かなって単独法は制定されたのですが「業務範囲」については単独法制定以前(はり師・きゅう師・按摩マッサ-ジ指圧師および柔道整復師法の時代)と変わっていません。

これは当時の厚生省が出した「柔道整復師法の施行について(昭和45年7月23日医発第858号)」に「柔道整復師の業務は本法第二条第一項及び第四章に定めるとおりであり、本法の制定によって従来の業務範囲と異なるところはないものであること。」とあることから明らかです。

つまり柔道整復師の業務範囲は「骨折・脱臼・打撲・捻挫に対する施術である」というのは柔道整復師が勝手に言ってるだけ、だったことになります。

これは私の推測ですが柔道整復師は業務を独占していますから、単独法制定によって骨折等に対する施術を独占できると踏んだのではないか。ところが依然としてあん摩マッサージ指圧師や鍼灸師にも骨折・脱臼の患部に対する施術は許されている。なんのこっちゃ、ということだったのではないでしょうか。

だから冒頭の国会答弁はこういうことになります。「柔道整復師法制定の時に、柔道整復師が自分たちは骨折等の新鮮外傷しか施術しないと言ってるんだから業務範囲は骨折等に対する施術でええんちゃう?」

下線部に「一般的に」とあるのは法律とか規制とかではなく「柔道整復師って何する人?」という普通の人の問に対する答えと同じということです。

なんでそんな答弁になったかと言えば以前にも書きました昭和41年9月26日の医事108号、「医行為又は医業類似行為(広義とする。)であるか否かはその目的又は対象の如何によるものではなく、その方法又は作用の如何によるものと解すべきである。」と柔道整復師単独法成立の際の提案理由のちょうど真ん中をとったからでしょう。

繰り返しになりますが冒頭に引用した答弁は一般論を述べただけで個々の傷病に対する施術が柔道整復師の業務に含まれるかどうかの判断をしていません。腱鞘炎等への施術が業務に入らないと言えば医事108号にバッティングするし、入ると言えばいわゆる慢性疾患に対して保険請求をする柔道整復師が出てくるのは目に見えていたからです。

保険外で施術するのも柔道整復なんやけどな、と私は思うのですがいかがでしょうか。

按摩術営業取締規則

「柔道整復師の業務範囲」について一気呵成にペーパーにまとめようと思っていたのですが怠け癖がついてうだうだしていたところに痛風発作まで起きてしまい、結局「何もしない休み」になってしまいそうです。

柔道整復師の業務範囲が新鮮外傷に限られる、というのが全く法律的根拠を持たないのは「柔道整復師の業務範囲」のカテゴリーに書いたことで充分に事足りるとは思っています。ただ、「柔道整復師 業務範囲」で検索をかけてみると柔道整復師法制定の際の経緯であるとか平成17年の国会答弁をもって相変わらず柔道整復師の業務範囲をうんぬんしておられるケースが多いです。そのあたりについての考察をちょこっと書かせていただきます。誤りがありましたらご指摘いただけると幸いです。

さて、まずは按摩術営業取締規則です。全文を入手できませんでしたのでよそからの孫引きです。

内務省令第10号
 按摩営業取締規則左ノ通之ヲ定ム
 明治44(1911)年8月14日 内務大臣法学博士 男爵 平田 東助
按摩営業取締規則
第1条~第4条   (省略)
第5条 営業者ハ何等ノ方法ヲ以テスルヲ問ハズ、流派名、又ハ卒業シタル学校、講習所ノ名称、若ハ修業ノ証明ヲ与ヘタル教師ノ氏名ヲ除ク外、業務上、其ノ技能、施術方法、又ハ経歴ニ関スル広告ヲ為スコトヲ得ズ。
第6条~第9条   (省略)
第10条 免許鑑札ヲ受ケズシテ営業ヲ為シ、若ハ停止中営業ヲ為シタル者、又ハ第5条ニ違背シタル者ハ5拾円以下ノ罰金ニ処ス。
第11条~付則    (省略)
 
 そうしてこの内務省令の改正がこれです。

 
内務省令第9号
 明治44(1911)年内務省令第10号按摩術営業取締規則中左ノ通リ改正ス
 大正9(1920)年4月21日 内務大臣 床次 竹二郎
第5条ノ次ニ左ノ2条ヲ加フ。
第5条ノ2
 営業者ハ脱臼又ハ骨折患部ニ施術ヲ為スコトヲ得ズ。但シ医師ノ同意ヲ得タル病者ニ就テハ此ノ限リニ在ラズ。
第5条ノ3
 地方長官ノ指定シタル学校若ハ講習所ニ於イテ「マッサージ」術ヲ修業シ又ハ「マッサージ」術ノ試験ニ合格シ免許鑑札ヲ受ケタルモノニ非ザレバ「マッサージ」術ヲ標榜スルコトヲ得ズ。
第10条中「第5条」ノ下ニ「第5条ノ2、第5条ノ3」ヲ加フ。付則ニ左一項ヲ加フ。
 本令ノ規定ハ柔道ノ教授ヲ為ス者ニ於テ打撲、捻挫、脱臼及骨折ニ対シテ行フ柔道整復術ニ之ヲ準用ス。
 
これを見れば骨折や脱臼の手当てを行っていたのは(按摩術)営業者、今の言葉でいえばあん摩マッサージ指圧師であることがわかります。附則に「柔道の教授をなすもの」が「打撲・捻挫・脱臼及び骨折」に対して行う柔道整復術、とあります。柔道整復術の営業を、(業務に共通するものがあるから)按摩術に準ずる形で認めますよ、くらいの意味です。

これが現在まで続く「柔道整復師の業務範囲」の言ってみれば源流でありましょう。ただし、この「按摩術取締規則」は帝国憲法の廃止に伴って失効していますのでこれをもって柔道整復師の業務範囲の法的根拠をうんぬんするのは誤りです。

もし、これを以て柔道整復師の定義とするのならば「柔道ノ教授ヲ為ス者」ではない私は柔道整復師ではいられない、ということになります。

柔道整復が柔道の活法に由来するものであるなら大正当時の柔道整復術は外傷以外の手当て法を当然含んでいたものと考えられます。たとえば大正年間にブラジルで活躍した柔術家前田光世(コンデ・コマ)はマッサージの技術でも高名であったと言います。ひょっとすれば「外傷への手当て」は柔道整復師が公認を得るための方便であったのかもしれません。
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かなや やすひろ
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性別:
男性
職業:
柔道整復師
自己紹介:
大阪市在住。医療系専門学校で教えるかたわら自宅兼のちっこい治療院でクラニオセイクラルのセッションを行う。好きなこと:講義すること、治療すること、飲むこと。嫌いなこと:お医者さんごっこ
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